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「へ？ あれ、直樹、今わたしのこと呼んだ？」
「え‥‥‥あ、いやまあ、ああ」
「そっか。‥‥‥でも何か、後ろに付いてなかった？」
「後ろ？」
「ええとね、みこと‥‥‥ん‥‥‥ど‥‥‥どり？」
「それはですね天ヶ崎先輩」
「うわ茉理っ！ どっから出てきた！」
「天ヶ崎先輩とあたしたちに直樹がドリア奢ってくれるって意味ですよ」
「え、そうなの？ うわあ嬉しいなー。ドリアかー。‥‥‥ドリア？」
「待て茉理、お前一体どこから」
「『みことんどりあ』のあたりから。‥‥‥それとも直樹、そんなに滑ったギャグの解説がしたいのかなぁ？」
「ちっ。仕方ない、今日のところはそれで手を打っておくか」
「だそうですよ保奈美さん」
「そうなんだ。嬉しいな」
「保奈美もいたのかよ」
「今まで同じ教室で授業受けてたんだから当たり前です。そうそうドリアはね、駅前においしいお店があるって聞いたよ。ちょっと行ってみたかったんだ」
「っていうかみんなちょっと待って！ ‥‥‥ドリアって、どんな食べ物？」
「え？ ‥‥‥あれ？ 美琴、ドリア知らなかったんだ」
「うん。ねえ、それおいしい？ おいしい？」
「ドリアンっていうのは独特の腐敗臭で有名な南国の果物痛っ」
「傷口広げてどーすんのよ馬鹿直樹！ それでほら、せっかく放課後なんですから、今からドリア食べに行きましょみんなで。直樹の奢りで！」
「わーい！ ゴチになります隊長！」
「こら待てーっ！ 勝手に話を進めるなっ！ つーか茉理、お前今日カフェテリアはいいのか？ それから保奈美は料理部は」
「ん？ あたし、今日はオフだよ？」
「今日は料理部もお休みだね」
「ほーら問題なし！ それじゃあたし、今からちひろ呼んでくるね！」
「まだ増えるのかよおいっ！」
「これはもう諦めるしかないね、なおくん」
「前の授業中ずっと考えてたのに‥‥‥口に出したらこんな目に‥‥‥」
「真面目に授業受けないからだよ。天罰テキメンって感じだね」
「お前が言うな美琴っ！」
「なおくんも人のこと言えません。天罰天罰」
「くそう‥‥‥ミトコンドリアなんて嫌いだ」
「ん？ なに直樹？ 呼んだ？」
「呼んでません」
「そうなんだ。でもさっきもそんな風に‥‥‥あ、ほら橘さん来たみたいだよ」
「つまりなおくんのギャグは全然ダメだったってことだね。さ、なおくんも行こう？」
「うう‥‥‥くだらないとは確かに思っていたが‥‥‥」
「あはは。口は災いの元って奴？」
「だからお前が言うな美琴‥‥‥ああもう、ほら行くぞっ」
「うんっ！」
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