☆ | : | つ‥‥‥続きまして、四位から‥‥‥っ‥‥‥
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※ | : | 見るからにボロボロですが、大丈夫ですか本当に? つーか何されたんですか一体?
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☆ | : | 言えません。とても言えません‥‥‥。
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※ | : | はあ‥‥‥まあ気を取り直しまして、四位からカウントダウンを再開しますが。えー、まだ登場していないのは?
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☆ | : | まずは皆さんご存知の通り、最初から最後まで熾烈なトップ争いを繰り広げてきた麻衣嬢とフィーナ姫。それから、リース嬢と、菜月嬢です。
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※ | : | はい。四名の枠内では順位に変動があったものの、七度に及ぶ中間発表の間中ずっと、この四名の顔触れ自体はまったく変わりませんでしたね。そしてこの四名、ここまで発表してきた中に登場していないということで、
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☆ | : | 少なくとも、中間発表で常に上位を占めていた四名が、結果で四位を下回るような大番狂わせはとうとう起きなかった、と考えていいようです。
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※ | : | さあ、引き続き上位の順位の発表に入りますが、その前に、四名の皆さんに現在の心境を伺って参りましょうか。
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☆ | : | はい。それでは、まずは麻衣嬢、防衛六度のディフェンディングチャンピオンとして、経過のわからないラスト三日間をどうご覧になりますか?
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麻 | : | んー、フィーナさんが逆転してるんじゃないですか? ほら、最後は追いついてきてる、って話だったじゃないですか。あのまま負けちゃうフィーナさんじゃないと思いますし。
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菜 | : | でも麻衣だって頑張ったよ。あのフィーナを追い込んじゃうんだもん。六億四千万の味方は伊達じゃないって! だから、わからないですけど、私は麻衣だと思います!
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※ | : | はい。力強い応援ありがとうございました。では続きまして、フィーナ姫にも麻衣さんと同じ質問をさせていただきましょう。この三日を経て、勝っているのは?
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フ | : | 私です。
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※ | : | おお‥‥‥っ! 来ました! 結果発表を前にして、堂々の勝利宣言です!
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フ | : | いいえ。自信があるからそう言えるのではないのです。あのまま麻衣に敗れて終わっても不思議なことはないと、私だって本当はそう思っているわ。でも、私を応援してくださった皆さんへの感謝と、その皆さんに応援していただいた私の気持ちに懸けて‥‥‥とにかく今は胸を張って、私です、と答えることこそが、ここまで私を押し上げてくださった方々への恩返しだと思うの。
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ラ | : | よく言った、フィーナ‥‥‥
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ミ | : | フィーナ様‥‥‥フィーナ様ぁ‥‥‥
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カ | : | 国王陛下、そしてセフィリア様‥‥‥フィーナ様はこんなにも、こんなにもご立派に‥‥‥っ‥‥‥
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※ | : | ああ、あちらで月王家縁の三人が抱き合って泣いています! スタジオ中が貰い泣きに咽んで、って、あれ? ‥‥‥今そこに王様来てませんでした?
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カ | : | い、いえ?
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☆ | : | ‥‥‥まあ、いいか。はい、えー前置きはこのくらいにしてですね。それではまずは、四位と三位を一気に発表します! こちらです!
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☆ | : | あーっと、ここは順位動かず! 総合五位のミア嬢に千点以上の大差をつけて、余裕の四位にリース嬢! そしてそのリース嬢をさらに二千点近くの大差で引き離し、開始以来不動の三位を鷹見沢菜月嬢が守り切りました!
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※ | : | はい、ではリースさん、こちらへどうぞ。まず、現在の心境は如何ですか?
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リ | : | ‥‥‥わ‥‥‥わ、悪くない。
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※ | : | フィアッカさんも総合順位でカレン女史を突き放し、ひとまずは完全勝利といった趣ですが。
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リ | : | うん。嫌いじゃない。
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※ | : | それでは、応援してくださった方々へメッセージをどうぞ。
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リ | : | ‥‥‥その‥‥‥ありがとう。
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※ | : | 中間発表ではつれない発言が目立ちましたが、意外なことに普通の謝辞です。
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リ | : | いや、今の「ありがとう」は、ワタシからそう言っておいてくれとフィアッカ様に言われて‥‥‥だからワタシが言いたかったのではなくて、それは、フィアッカ様が、
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※ | : | なるほど。えー、フィアッカさんとリースさん、おふたりからの感謝のメッセージでした。
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☆ | : | そしてこちらは人呼んで「二位票の女王」、三位の菜月嬢をお迎えしています。おめでとうございます。参加全員中最多の二位票を武器に、並み居る強敵を押し退け、堂々の三位に輝きました!
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菜 | : | あ‥‥‥あの‥‥‥あり‥‥‥
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☆ | : | えー、菜月嬢は現在顔が真っ赤です。額に薬缶を置いたらお湯が沸きそうな勢いです。はい深呼吸。すー、はー、すー、はー。
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菜 | : | すー‥‥‥はー‥‥‥すー‥‥‥はー‥‥‥。
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☆ | : | 噂には聞いていましたが、あれが例のたゆんたゆんでしょうか。お聴きの皆様にお見せできないのがつくづく残念です。
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仁 | : | ああ、なるほど。確かに眼福だねえ、達哉君。
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達 | : | え? ‥‥‥お、俺? あ、え、あの、はい。‥‥‥いや、っていうか痛い痛いフィーナ抓るなっ!
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フ | : | 知りません。
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☆ | : | さ、落ちついたところで、現在の心境をどうぞ。
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菜 | : | その‥‥‥あ、ありがとうございました皆さんっ! こんな、えっと‥‥‥あ、頭がくらくらしてきました‥‥‥
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麻 | : | って菜月ちゃん、大丈夫?
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菜 | : | ん。大丈夫。‥‥‥さあ、そしたら後は、麻衣とフィーナしか残ってないね?
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麻 | : | あ、うん。もうね、さっきから心臓がすごい音たててるの。ひょっとしたら一生分、鼓動の音を使い切っちゃってるかも、ってくらい。
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フ | : | そうね。私もよ、麻衣。
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☆ | : | 先ほどからお株を奪われっ放しのインタビュアーですが、お二方とも、心の準備はよろしいですね?
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麻 | : | はい。
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フ | : | お願いします。
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※ | : | お集まりの皆さん同様、我々も固唾を飲んでこの瞬間を待っていました。泣いても笑っても残すところは優勝と準優勝のみ。これが最後の順位発表となります‥‥‥さあ、先ほど同様こちらも一気に、二位と一位を同時に開けて参ります! いざ、勝負っ!
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ミ | : | フィーナ様ああああああああああっ! わたし、信じて‥‥‥信じて‥‥‥っ!
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フ | : | ミア‥‥‥ええ。ありがとう。みんなのおかげで、何とか逆転できたようね。
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☆ | : | い‥‥‥い、入れ替わっています! 途中六度に渡って麻衣嬢の後塵を拝してきたフィーナ姫が、総合成績で遂に、遂に、一位へ返り咲きを果たしました! 執念! まさに執念の大逆転劇です!
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さ | : | 麻衣ちゃん‥‥‥。でも、残念だけど、よく頑張ったわ。よしよし。
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※ | : | はい。只今こちらに詳細レポートが回ってまいりましたが、えー、順位の入れ替えは、実際には八日目の段階で起きていた模様です。それにしてもこのお二人‥‥‥改めて点数の方を見てみますとですね、三位の菜月さんさえもほぼダブルスコアで突き放すような恐ろしく高い得点圏で、お二人だけが孤高の戦いを繰り広げていたことが明らかになっています。
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麻 | : | うっわ‥‥‥そんなに、ですか?
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※ | : | はい。まるで小学生の徒競走に五輪メダリスト級のスプリンターが二人だけ紛れ込んだような、まったく別次元の戦い模様でした。
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菜 | : | ほら、そうだよ! あのフィーナ相手にここまでやれたんだもん。うん。十二億八千万、麻衣は自慢していいと思う!
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麻 | : | そう、かな? ‥‥‥ん。そうだね。皆さんありがとうございました! 最後はちょっと二位でしたけど、こんなにたくさんの皆さんが応援してくれたこと、わたし、ずーっと忘れません! 本当に、本当にありがとうございましたっ!
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☆ | : | さあ、そしてフィーナ姫です! まずは優勝おめでとうございます!
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フ | : | ありがとうございます。ほらミア、もう泣かないで。
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ミ | : | 姫さま‥‥‥姫さまぁ‥‥‥
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☆ | : | 十日間の全日程中、一位を麻衣嬢に明け渡すこと六日間。非常に苦しい戦いでした。
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フ | : | そうですね。総合得点ではどうにか逆転しましたが、途中であれだけ負けているんですもの。麻衣が強敵であったことに変わりはありません。
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☆ | : | 参加十四名の中、お二人だけが五桁の総合得点を叩き出しつつも、お二人の間の点差は僅か数百。突出してハイレベルなマッチレースをギリギリで差し切り、見事その強敵を下しました。
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フ | : | はい。まずは応援してくださった皆さんに‥‥‥ひとりで何度も投票することはできない中、貴重な票を私に投じてくださった皆さんに感謝したいと思います。それから開催中、ある意味では敵同士ともいえる私に普段通りに接してくださった、麻衣や、朝霧家、鷹見沢家の皆さん。それにミアやカレン、月王国の皆さん。もちろん、達哉‥‥‥達哉に‥‥‥
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達 | : | ほらフィーナ、ハンカチ。後で一緒に泣こうな。
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フ | : | ん‥‥‥本当にたくさんの方々に支えられて、私は今日、ここに栄冠を手にすることができました。皆さん、ありがとうございました。
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※ | : | えー、興奮冷め遣らぬスタジオから中継でお送りして参りましたが、壮絶なデッドヒートの末、人気投票はフィーナ姫の大逆転勝利に終わったことをお伝えしつつ、それではこの辺で、番組を終了したいと思います。ごきげんよう。
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