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『さて、本日はバレンタインデーです』
「あー。まあ、そうだな」
『‥‥‥ええと、それで改めて確認なんですが、バレンタインデーだからって毎年告白しなくても、隆先輩は私の彼氏さんでいてくれますよね？』
「その台詞が既に告白なんじゃないかって気もするけど」
『そこは気づかなくていいです。‥‥‥で、あの、お返事の方は』
「ああ、うん。もちろん、そんなこと全然必要ないよ？ いや八重が告白したいんだったら止めないけど、っていうか、してくれたら嬉しいって思うけど」
『ありがとうございます。ところで隆先輩』
「ん？」
『今年は「逆チョコ」が話題ですが』
「ああ、そういえばそうみたいだな。ってどうしたの？ 何か欲しいものとか？」
『いえ。むしろ、その、できれば欲しくないというか』
「は？ 何だそりゃ？」
『私があげたチョコが逆チョコとして帰ってきたので、先輩の手元には何も残りませんでした、的な‥‥‥その、そういう感じで、今年のバレンタインデーは終了ということで、ええと』
「‥‥‥何か失敗したんだ？」
『ごめんなさい材料全部焦がしちゃいました‥‥‥ううう』
「あー。なるほど。‥‥‥ところで八重、今年は『逆チョコ』が話題なんだけど」
『‥‥‥はい』
「ケーキでも食いに行こうか。今から駅前集合でいい？」
『い、いいえ、ですから私、今年は何も』
「ふたりともケーキセットか何か注文して、お互い相手の勘定払っとけば辻褄合うと思うけど」
『いやそりゃ辻褄は合ってますけど、こう、ユメとかキボーとかロマンとか、なんかそーいうものがごっそり抜けてる気が。それにそれに、本当にそんなことになっちゃったら、何だかんだ理由つけて先輩に奢られちゃうに決まってますし』
「凄い自信だな」
『あ、いえ‥‥‥自信っていうか、過去の経験っていうか、あの』
「まあそうなのかも知れないけど、そしたらお返しはホワイトデーん時でいいから。‥‥‥あれ？ えっと、多分あるんだよな？ 逆ホワイトデーっていうか、何かそういうのも」
『どうなんでしょう？ 「逆チョコ」なんて聞いたの今年が初めてですから、あるのかないのかわかりませんけど』
「だからまあ、世間になくても『ある』ってコトにしとこう。それなら時間はあと一ヶ月あるんだから、失敗したとか気にする必要なくなるし」
『‥‥‥や、今日はやっぱり割り勘がいいです』
「強情だなあ」
『それで隆先輩、何でもいいですから、ホワイトデーは先輩も手作りでお願いします。できたら何か大失敗して、人前に出せないような感じになっちゃってください。で、逆ホワイトデーで私が作ったのだけしか残んない。これです！ これで行きましょう！』
「何だよそりゃ‥‥‥まあアレだ、その辺は会ってから相談するってコトで。駅前でいいよな？」
『はい。すぐ行きます』
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