窓から差し込む西陽をじっと見つめて、
「んー‥‥‥」
それから、両腕をいっぱいに伸ばしながら、生徒会財務はぐっと背凭れに身体を預けたが、椅子はきしりとも音をたてなかった。
いつも思うが、高級で重厚そうといったイメージだけの話でなく、実用品として、実に丈夫な椅子だ。
そういえばこの椅子は、いつから使われていて‥‥‥いつまで、この監督生室で使われるのだろうか。
埒もないことをふと考える。
「あ。支倉先輩、お茶が入りました。休憩にしませんか?」
給湯室から副会長が顔を出した。
「はい、どうぞ」
「うん。ありがとう」
手元の丸盆から湯呑みをひとつ孝平の前に出し、それから、少し厚めに切り分けられた羊羹の皿をテーブルの真ん中に。
もうひとつの湯呑みを向かいの席に置いて、副会長はその席の椅子を引く。
「ああ、そうか。今日は白ちゃんだけだもんね」
「へ? ‥‥‥あ、すみません。支倉先輩も紅茶の方がよかったでしょうか」
「そんなことないよ。俺はどっち派とかないし。それに瑛里華も、別に緑茶が嫌いなわけじゃないでしょ」
今日はたまたま、監督生室には孝平と白しかいない。
実家に用事があるとかで、生徒会役員の中では唯一の紅茶党であり生徒会長でもある瑛里華は、授業が終わるとすぐに出掛けていってしまった。
こんな日は、唯一の緑茶党である白の独壇場だ。
「はい。瑛里華先輩もそう言ってはくださいますが、でもやはり、どちらかといえば紅茶とケーキの方が喜ばれるようです。‥‥‥あの、本当は、支倉先輩も」
「いやいや。俺がどっちでもないのは本当だって」
そう言って、孝平は湯呑みのお茶をひとくち。
「ふー」
深い苦味が穏やかに口の中に広がる。
「それよりも先輩」
そんな孝平をにこやかに眺めていた白が、そこで不意に首を傾げた。
「いきなりですが、何か悩んでいらっしゃいませんか?」
「誰が?」
つられたように孝平も首を傾げる。
「ええと、支倉先輩が」
「何に?」
「あの、それを今、わたしがお伺いしているのですが」
「あ、そっか」
それはそうだった。
「いや、悩んでるってほどのことじゃないんだけど。瑛里華の誕生日がもうじきだなーって思ってて」
「ああ‥‥‥」
「去年のプレゼントが本当もう、最悪っていうか、全然誰もしあわせにできてない感じだったからさ」
本当は、あの時の瑛里華がいちばん欲しがっていたもので‥‥‥だが、受け取った本人である瑛里華の気持ちの上では、もらったことを喜ぶ気になどとてもなれそうになかったもの。
「今年は何ていうか、もうちょっとこう、瑛里華が普通に喜んでくれそうなものが何かないかな、って」
その時の話は、白も征一郎から聞いていた。
我を忘れ、孝平を眷属にしようと迫った瑛里華を落ち着かせるために、孝平が自分の生き血を飲ませたのが、ちょうど去年の誕生日、六月七日のことだったらしい。
「そうだ。せっかくだから相談に乗ってもらおうかな」
そう言って孝平は笑う。
「何かないかな、白ちゃん? 瑛里華が喜んでくれそうなプレゼント」
そんなことを訊ねながら‥‥‥本当に嬉しそうに、孝平は笑う。
「んー。そうですね」
白も笑いながら、もう一度、軽く小首を傾げてみせる。
経緯はともかく、あの出来事をこんな風に笑って話せるようになったことは、白にとっても嬉しいことだった。
仮に、子である瑛里華や伊織が、あるいは東儀家の長たる征一郎が伽耶を赦したからといって、それまでに伽耶がしてきたことが消えてなくなるわけではない。
だが、だからといって、赦さなければそのうちに消えてなくなってしまう、というものでもない。
今すぐに八方を丸く収める妙案などある筈もない。あればとっくに、誰かがそうしていた筈だ。だから、恐らくそのことは、関わった全員が、長い時間を掛けて考えていかなければならないことなのだろう。
ならば‥‥‥結局、何をどうしたところで問題が消えてなくなりはしないのならば、そのことで皆が暗く鬱ぎ込んでいるよりは、皆が笑っている方がいい。
およそ一年前の、伽耶の改心、家族との和解。
瑛里華の人間化。
しばらく経って失踪した伽耶と桐葉。
‥‥‥それらのことを、白はそんな風に捉えている。
「ええと、何が欲しいか、瑛里華先輩に直接訊いてはいけないんですか?」
何か思いついた顔で、白が訊ね返す。
「うーん。実はそれは、俺も最初に考えたんだけど‥‥‥こう、カンニングしてるみたいだな、っていうか。俺の気持ちで渡すものなんだから、それは俺が考えなきゃいけないんじゃないかって気がして」
そう言われて、孝平は何やら複雑な顔をする。
「でも、それでしたら、わたしと相談をするのも不味いんじゃないかと‥‥‥あ」
「あー、まあ、それもそんぐっ」
言葉に詰まりかけた孝平の口を、急に白が差し入れた羊羹が塞いだ。
「支倉先輩、勉強会ですよ!」
「‥‥‥む?」
孝平の口の端から爪楊枝を引き抜きながら、今度は、白は湯呑みを差し出す。
「ほら、わたしたち、試験前に図書館とか、寮のお友達のお部屋に集まって、一緒にお勉強したりするじゃないですか。ああいうのですよ、きっと」
「なるほど。瑛里華先生から教えてもらったらカンニングだけど、試験前に生徒が一緒に考えるのはアリ、か」
そういう経緯で。
「はい!」
差し当たっては、その晩のお茶会が『勉強会』とやらに様変わりすることになった。
▽
その晩、孝平の部屋。
「すみません。お待たせしました」
「あ、帰ってきた」
通話を切った携帯を畳みながら、ベランダから部屋に戻ってきた孝平に、妙にやさぐれた様子のスペシャルゲストが口を尖らせる。
「まったく。大事な相談があるっていうから遠路はるばるやってきたマドリガルかなでと愉快な仲魔たちを三十分も放ったらかして、こーへーだけベランダでカノジョとらぶらぶトークだもんねー」
「らぶらぶ同士で勝手にやってて欲しいっスね」
人の悪そうな笑みを浮かべて、司も憎まれ口を叩く。
「まあまあ、お姉ちゃんも八幡平くんも」
例によって陽菜はその場をとりなす役回りだ。
「それで、千堂先輩は何と?」
白が話の続きを促す。
「お茶会に出られないのは残念だけど、そういう相談してるんだったら自粛する、って」
誕生日のプレゼントについて相談していることを、孝平は瑛里華に隠さなかった‥‥‥そこを暈かしたまま、今すぐ瑛里華に会えない理由や、瑛里華抜きでお茶会が催されている理由がすらすらとでっち上げられるほど、孝平は世慣れてはいないし、狡い人間でもない。
孝平だけでなく、その場の全員にも、さらにいえば瑛里華にも、それは以前からわかっていることだった。
「ハードル上げたな、孝平」
ただ、司がそう呟くのももっともなことではある。瑛里華にしてみれば『すごいプレゼントを渡すから期待していてくれ』と言われたようなものだ。
「うー、そうだよなあ」
「そうだね。えりりんの期待度は赤丸上昇、絶讃うなぎ登り中! これで半端なプレゼントなんかしちゃったらお姉ちゃんゲンメツしちゃうぞ?」
「どうしてお姉ちゃんがゲンメツするのかな」
「気にしない!」
「‥‥‥で、話を戻すけど」
苦笑を漏らしつつ、孝平は軌道修正を図る。
「女の子がもらって嬉しいものって何なのかな」
「『横綱刑事』コンプリートDVDボックス!」
この春に卒業してから二ヶ月ばかり経っているが、いろいろな意味で、かなでは相変わらずのようである。
「それは、女の子がみんな欲しがってるみたいに断言されてもちょっと困っちゃうかも」
「えー?」
「かなでさんにあげるわけじゃないんですから」
「ぶーぶー」
ぶつぶつ言いつつも、ひとまずかなでは引き下がる。
「とにかく没。はい次、陽菜」
「私? んー、千堂さんの好みに合わせるなら、アロマポットなんかいいかもって思うけど、でも千堂さんはもう持ってるよね」
陽菜が自分で付け加えた通りで、瑛里華は既に、アロマテラピーに纏わる道具類は一揃い持っている筈だ。
「はい! でしたら、オイルの方は如何でしょうか?」
今度は白が手を挙げる。
「うーん。その辺は、俺がもっと詳しければそういうのもアリだと思うんだけど‥‥‥どれは試してないだとか、どういうのが瑛里華の好みだとか、そういうの全然わかんないんだよね」
「まあ、内緒でプレゼント用意してるって宣言しちゃった手前、会長本人には訊けないよな」
それを瑛里華に訊ねるのは、『プレゼント候補はアロマオイルです』と白状するのと同じことだ。
「そうですか‥‥‥それで、八幡平先輩は如何ですか?」
「いや如何って、俺は男子」
「いいじゃないですか。せっかくですから」
司は白に押され気味のようだ。
「んー。何がいいんだろな‥‥‥あ、そうだ、この間実家から届いた荷物に地域限定ぽてりこか何か入ってたけど、ああいうのはダメなのか?」
「え、ちょっとへーじ! そんなナイスなお菓子があるんだったら今出してよ、今!」
途端にかなでが目を輝かせる。
「それもそうか、せっかくのスペシャルゲストだし。俺ちょっと取って来るわ」
司が腰を上げるのを見て、かなでは嬉しそうにうんうん頷いている。どうやらその地域限定ぽてりこは、瑛里華へのプレゼントになる前に、今日のお茶請けとして供されることになってしまったようだ。
「そりゃ予算は正直大したことないけど、だからって、ぽてりこ一個渡して『誕生日おめでとう』もないよなあ」
「小学生でもそんなにシケてないよね、今時」
「うーん。確かに、ぽてりこはちょっと寂しいかなー」
「でもわたし、いただいたのが金鍔だったりしたら大喜びしちゃうと思うんですが」
「あー。確かに金鍔とか、なんかそういう差ってあるよねー。何が違うのかよくわかんないけど。高級感?」
「何なんだろうな。高級感って言っても、単純な値段の問題とかじゃないと思うんだけど」
「え、そうかな?」
「だって、特別何とか版で定価千円のぽてりこっていうのがもしどっかにあったら、それは高級感あるのか、っていう話になるだろ」
「‥‥‥そう言われると、ぽてりこはぽてりこかも」
「でも、お誕生日だからといって、何か高級で高価なものでなければとか、そういうことではないというか」
「やっぱり気持ちが大事?」
「はい」
「そかそか。じゃあこーへー、へーじが持ってくるぽてりこに思いっきり気持ちを込めてみたらいいんじゃないかな? まずは硯と筆で箱に大っきく『気持ち』って書くところから始めよう!」
「どこいら辺からギャグだったんですかそれは」
「楷書で!」
「いや書体はいいですから」
「しかも今ならおまけで風紀シールも貼っちゃう!」
「最早何だか全然わからないことに」
「そこで、ぽてりこの代わりに金鍔を」
「入浴剤セットなんかもいいと思うな」
「そしてそっちのふたり、自分が欲しいものを取り敢えず言ってみるの禁止」
「えー」
「えー」
「えー」
「なんで『えー』だけ三重奏か。とにかく却下です却下」
「ということなのでお集まりの皆さん! お姉ちゃんたちが一生懸命考えた素敵なプランはみんな却下なので、えりりんへのプレゼントをどうするかについては、結局こーへーがひとりで考えるそうです! 待て次号!」
「いやそれも違いますから! つーか一体どっから何の話だったんだコレ!」
「まったくだ。さっきから何の話してるんだ、本当に全然ついて行けなかったぞ」
いつの間にか戻ってきたらしい司の声で、姦しく話し続けていた四人ははっと我に返る。
「って、どっから聞いてたんだ?」
「どっからって‥‥‥あー、『そう言われると、ぽてりこはぽてりこかも』のあたりかな」
「結構前だな」
「だから話に入れなかったんだよ」
ただ隣室へぽてりこを取りに行っただけにしては随分と疲れた声だ。
「せっかく新しいお茶請けも持ってきてもらったことだし、私、お茶淹れ直してくるね」
いつもの椅子に腰を下ろした司と入れ替わるように、今度は陽菜が腰を上げ、
「わたしもお手伝いします」
続いて、卓袱台のカップを集めながら、白もその場に立ち上がる。
「ありがとー! あ、わたし次はコーヒーがいいなー」
「はーい」
かなではにこやかにリクエストするだけだが、スペシャルゲストに仕事をさせる気は在校生の側にもない。
「さて、俺がいなかった間の話の流れを説明してくれ」
改めて、司は訊ねた。
「話せば長くなるんだが、構わないか?」
「なるべく簡潔にな」
「わかった。実は」
そこで孝平は意味ありげに息を吐いた。
「全然、何にも決まってない」
「‥‥‥いやー、長い話だったなー」
「ぷっ! あはははははははっ!」
呆れたように呟いた司の向かい側で、かなでが腹を抱えて笑い転げている。
「それにしても‥‥‥女が三人寄れば姦しいって言うけど、さっき孝平、女三人に混ざってて全然遜色なかったぞ。女の子でもやってけるんじゃないのか?」
「勘弁してくれ。つーかそんなことよりプレゼントを」
「あ、それいいかも!」
笑い転げていた筈のかなでが突然声をあげた。
「へ?」
「えりりんのお誕生日に一日デート。こーへーはフリフリのワンピで、えりりんはスーツね!」
「何の罰ゲームですか! しかも瑛里華も一緒って!」
日頃何食って生きてたらこういう阿呆なコトを思いつくのだろう。
かなり真剣に、孝平は不思議に思う。
「ああ、こーへーワンピ持ってないんだったら、えりりんと制服の取り替えっこでもいいよ?」
「入りませんよあんな細いスカートに」
先程、ぽてりこの箱を持って戻ってきた司の表情と比べても、今の孝平は明らかに疲れた顔をしていた。
「ふーん。流石にらぶらぶなだけあって、よく知ってるんだねー。えりりんの身体のサイズとか」
微妙にセクハラな発言と意味ありげな流し目で、かなではさらに追い打ちを仕掛ける。
救いを求めるかのような孝平の涙目に、しかし司は、不審なまでに爽やかそうな微笑みと共に、右手の親指を立ててみせた‥‥‥だけ、であった。
「お待たせしましたー。って孝平くん、何の話?」
「何でもありません」
目の前に置かれたカップを手に取ると、
「わっ先輩、そんな一気に飲んだら火傷」
孝平は、注がれた熱いコーヒーを無理矢理一気に飲み干して、深い深い溜め息を吐く。
「さて。果報者をいぢめて遊ぶのはこのくらいにして」
そんな孝平を見届けてから、
「さっきからずっとこーへーのプレゼントの話ばっかりしてるけど、わたしたちだって、えりりんのために何か用意したいよね」
こちらも一息吐いて、かなでが話を変える。
「こーへーのと被っちゃってもアレだし、その辺含めて、ちょっと真面目にお話しよっか」
ようやく、話は振り出しに戻るようであった。
▽
「うん。何にするかは大体決まったよ。近々みんなで買い物に行って、後は現物見ながら、って感じ」
その後さらにしばらく経って、お茶会が跳ねてから。
『うわ本当? 楽しみー』
携帯電話の向こうからは、瑛里華の楽しそうな声が聞こえている。
『でも本当はね‥‥‥今だから言うけど、さっきは寂しかった。孝平と一緒にいられないこと。みんなで何かしてるのに私だけ参加できないこと。そう思ったらちょっと泣けてきたりもして』
悪戯っぽく笑いながら、瑛里華はそんなことを言った。
「あ。‥‥‥それはごめん。本当ごめん」
『いいのよ。孝平、何やってるか先に話してくれてたでしょ? 多分、私が孝平の立場だったら「お祝いごとはサプライズが重要」とか思うところだけど、孝平は話してくれたから、なんか会えなくてもね、余計な不安とか、変な疑心暗鬼とか、そういうのは感じなくて済んで』
ふ、と息を吐いてから。
『次には、こんな私のために、みんなそんなに一生懸命、何か企んでくれてるんだって思って』
実際はほとんど馬鹿話ばっかりなんだけどな。
心の中でだけ、孝平は苦笑を漏らす。
『そう思ったら‥‥‥その前とは別の意味で、またちょっと泣けてきたり』
「結局泣くのか」
『そのくらい画期的な出来事なのよ。少なくとも私にとっては。白とか征一郎さんとか、そういう少しの例外を除いたら‥‥‥「お誕生日おめでとう」なんてね、血の通った言葉で祝福してもらえたっていう、たったそれだけのことでさえ、私には一昨年が初めてだった』
昨年までの千堂家よりも肉親の情に薄い家族というものを孝平は知らない。誕生日だからといって、あの時の伽耶や伊織が何かしてくれそうだとは思えなかった。
それに、修智館に入学する以前には、瑛里華は学校に通っていない。
だから一昨年、修智館に入学した年の誕生日だけが、瑛里華にとっては唯一の、人並みに誕生日らしい誕生日だったのだろう。
去年の誕生日は奇しくも吸血鬼に特有の不安感がピークで、誕生日が云々と言っていられる余裕はなかった。
そして。
今からおよそ一年前の、伽耶の改心、家族との和解。
瑛里華の人間化。
様々な紆余曲折の果てに‥‥‥『人間として』という意味だけでなく、何の気兼ねも心置きもなく、ただ心から嬉しがっているだけでいい、という意味においても瑛里華にとって生涯初の誕生日が、もう間近に迫っている。
『唯一心残りがあるとすれば、母様と紅瀬さんも一緒に祝ってくれたら完璧だったんだけど。まったく、どこほっつき歩いてるんだか』
「んー、そればっかりはなー」
それは孝平も考えないではなかったが、なにしろ、ふたりとも携帯電話の類は持っていない。家で待っている側からでは連絡の取りようがないのだった。
『ま、最初から完璧っていうのも何だかつまらないし、後々にとっておける楽しみがある、ってことにしましょ』
「そうだな」
そう。吸血鬼ではなくなってしまったから、永遠に毎年訪れる、というわけにはいかないが‥‥‥ともかくも、瑛里華の誕生日は来年にも再来年にもある。
「来年は来てくれるといいけどな」
『気が早すぎじゃないかしら? 今年の誕生日も終わってないのに来年の心配なんて、鬼に笑われちゃうわ』
「それもそうか。‥‥‥じゃ、まずは今年の誕生日、瑛里華に喜んでもらえるように」
『ん。楽しみにしてる』
あとはいつものように、受話器越しにくちづけの音を聴きあってから、ふたりは通話を切り、端末を畳む。
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