>普段ガチなWin2000たんもこの三姉妹の前にはヘロヘロのネコになってしまうのですかムッハー(*゚∀゚) =3
「とか書いてあるけど、コレってどうなの?」
いつものように開けっ放しのブラウザをマウスポインタでちょいちょい示す。
こっちに出てきているコントロールさんは傍らのポーチから銀縁の眼鏡を取り出して‥‥‥って、
「眼鏡?」
『だってこのデスクトップ無駄に広いんですもの』
「無駄って言うなー」
確かに19インチで1920x1440とか字が小さいなーとは僕だって思ってるけど、でもそれは必要だからそうやってるんであってっ。
『ああ、Windows2000さんと折り合いがつかない場合ですか』
僕の想いなど露ほども気にした様子もなく、マウスポインタのあたりを覗き込みながらコントロールさんは言葉を続けた。
『それはアルトちゃんが得意ですね』
「得意とか不得意とかいう問題なの、それ?」
『そうですが、それが何か?』
振り返って小首を傾げる仕草が可愛いとかに騙されてはいけないいけないいけない色即是空空即是色月日は百代の過客にしてやうやう白くなりゆく‥‥‥ややっ! 反応が遅い!
『あ、あの?』
はっ、と僕は我に返った。
「え? あれ? ああ、そうだそうだ眼鏡」
『その前です』
返れてなかったらしい。
「そうそう。アルトちゃんが得意」
『よくできました。‥‥‥ご覧になりますか? それでは、Altを押さえたまま、Tabを何度か押してみてください』
「実行中で負荷の高いプロセスがまだたくさんあります。プライオリティの変更は認められません」
「えー?」
「いえ。えーとか言われましてもダメなものはダメです。とりたてて速いシステムでもないのですから、なるべく余計な負荷が増えないよ」
「お姉ちゃーん‥‥‥OSたんがいぢめるよぅ‥‥‥」
「って、わっ待ってください! ちょっちょっとアルトちゃ‥‥‥アルトさん! ですからっ、ですから今再起動なんかされたらもっと酷いことに」
「お姉ちゃーん!」
「ああっわかりましたっわたくしが悪うございましただから待ってくださいっ! 他のプロセスのCPU占有率を少しずつだけ下げて、実行が待たれている入力済み操作の方をっ」
「わーい! だから2000たんって大好きっ!」
「いえ、あっあのそんな、いきなり抱きついたりされては、その」
「‥‥‥あるとちゃん‥‥‥で、いいよ?」
「あ、ええと、あの、あの‥‥‥はい、あるとちゃ‥‥‥ん」
「今度ねー、手ぇ繋いであげる☆ きゃはははははっ」
その腕をアルトちゃんの背中に回しちゃおうかどうしようかで悩んでるらしいWindows2000の腕をすっと擦り抜けて、にこやかに手を振りながら走り去るアルトちゃんの背中と、その背中に向かって僅かに指を伸ばすWindows2000の手のアップ、で再現動画は終わった。
『時にこのような暗闘があって、割り込み操作が優先権を得る次第なのですが』
「うわー本当にヘロヘロでやんの」
自分も女の子のくせに女の子に抱きつかれて顔真っ赤だしWindows2000。
『お堅いイメージに合わないから、とひた隠しにされていますが、実はWindows2000さんは可愛いものが大好きなんです。プライベートでは少し内気なところもあるようですし、いつも明るいアルトちゃんのことがきっと羨ましいのではないでしょうか』
羨ましいとかそんな健全なもんかなアレ。それはそれで微笑ましいから別にいいけど。
『ところであの「手を繋いであげる」ですが、そうですね、軽く200回くらいは約束してる筈なんですけれど。一度くらい本当にデートして来ればいいのに、アルトちゃんったら意地悪さんなんですから』
「って、もしかして手玉にとってる?」
つーかよくよく思い出してみると、実は確かに目が笑ってなかったような‥‥‥意地悪って言うか、悪女?
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