ただ寄せて返すためだけに寄せて返すを繰り返す細漣のように。
AFTERWORDS. [2663.10.xx.] [THIS PAGE.]
[2663.09.xx.] , [2663.11.xx.] [SHORTCUT.]
SILENCE. / FORCEWORD. / AFTERWORDS. latest : list / MAIL. [OTHERS.]


[2663.10.01.水.]
[2663.10.01.水.] / 遅まきながら。 / 実は今日から、 / 目次の目次。(RE:RE:14個のアーカイヴ) / ちなみに。 / 突っ込んで斬る。
遅まきながら。
 とても静かなところで通電しているPEG-T400に耳を近づけると、小さいけど割と耳障りな動作音が実は鳴っている、ことに昨夜気づいた。‥‥‥とはいっても、電車の中とか職場とか、通常使っているのはそれ以外の雑音が普通に聞こえている環境ばかりだから、こんな小さい音に今まで気づかなかったこと自体は別に不思議でも何でもないけど。
実は今日から、
 10:00-16:00だったフレックスのコアタイムを09:00-15:00にする謎変更、がめでたく施行の運びに。
 要するに「全員9時に出社すれ」という話なんだけど。

 : おねぼうさんはいけませんですー!
 : まあそうなんだけど、突然1時間早くなるっていうのも何だかなあ(苦笑)。
 : 1時間早く寝れば済む話、ではダメなのでしょうか?
 : 僕はそんなにデジタルにできてないよ(^^;;;。それに、定時出社したからって定時に退社できるワケでもないのに、朝だけ早くなられても、とかも思うし。

 で、取り敢えず9時に間に合うように出勤してみたら、これまでと全然混み具合が違っててちょっと驚いたり。知らないうちにオフピーク出勤だかに貢献していた模様。
目次の目次。(RE: *RE:14個のアーカイヴ)
 ええと、こちらの展開結果はこういうツリーになっています。
〜\seiru\index.html ← これが「目次の目次」。
        \log01\ss01\ss.htm
                   \ss01.htm
                    :
        \log02\ss02\ss.htm
                   \ss22.htm
                    :
         :
        \log13\ss\ss.htm
                 \ss698.htm
                  :
        \log14\ss\ss.htm
                 \ss757.htm
                  :
 「目次の目次」とブルース・おりくらが呼んでいるのは上記で言うところの「〜\seiru\index.html」のことで、中身は各シーズンのss.htmへのリンク集です。そして多分それは、せいるさんの仰るところの「各ss.htmを束ねるファイル」と内容的にイコール、だと思います。

 なお、ブルース・おりくらは↑このようにしたので、最初から〜\seiru\index.htmlに相当するものが存在したら楽だなあ、と思った次第ですが、「実際そのファイルをローカルでどう解凍するかっていうのは落とした人次第」という考え方はまったく正しい(↑このようにする人ばかりとは限らない)とブルース・おりくらも思いますので、分割された状態で配布されているものに対して「(↑このようになっている)目次の目次を用意してくれなきゃ嫌だ」、とかいうことが言いたいワケではありません。
 ‥‥‥もしかして、その点について誤解を招くような表現だったでしょうか?(^^;;;
ちなみに。
 困ったことに、PalmOSハンドヘルドという奴は、所謂「普通のテキストファイル」を標準の状態で普通に読むことができません(苦笑)。
 HTMLファイルからテキストファイルへの切り出し、とPiloWeb Ver2.11によるDoc(MeDoc)形式化、は実は全然意味の違う作業でして、できあがるのも全然違う形式のデータファイルです。ですから、「ローカルサーバからPiloWebで切り出してPalmに放り込む」と書いた作業によって出力されるファイルも、所謂「Windowsのテキストエディタ」では読めなかったりします。

 ローカルにHTTPサーバを持っている人でないと多分使いようがない(笑)「シーズン(アーカイヴ)毎の階層化Docファイル(MeDoc形式)」を出力するPiloWeb Ver2.11用切り出し設定ファイル、及び「切り出し作業時に下端の感想フォーム部分をコメントアウト扱いにする」正規表現置換ファイル、さらには、それらを使ってブルース・おりくらが作成した各Docファイル、が現在手元にあります。
 今のところ問題なく閲覧できているので、内容は大丈夫かと思います。とはいっても、SS自体であるところのDocファイルをブルース・おりくらが配布するのはいくら何でもアレですので(笑)、そういった要求には応じられませんが‥‥‥これもせいるさんの了承次第ながら、設定ファイルセットの方についてなら、少なくともブルース・おりくらとしては配布に異存はありません。
突っ込んで斬る。
『ふん‥‥‥真っ先に突っ込んで斬る、か』
 厚志のすぐ後ろで舞が呟く。見つめるディスプレイの向こう、壬生谷が駆る一号機の背中は既に遠い。
「そういえば、前にそんなこと言ってたよね」
『それしかない、とも言うておったが』
 感心しているのか呆れているのか、口調からではよくわからなかったが、
『まあ、あれだけ徹底すれば、ひとつ覚えもまた芸と言うべきであろうな。結構なことだ』
 言っていることの中身からすると、どうやら、感心の方らしい。‥‥‥へえ、と厚志が呟く。
「珍しいね。壬生谷さんのこと、芝村さんがそんな風に言うの」
『何がそんな風か』
 舞はウォードレスの固い爪先で厚志のヘルメットを小突く。
『大体な、我らは難儀しておるのだぞ? 毎度毎度懲りもせず、単独で突っ込んでは壊されて戻って来おる。せめて滝川なり我らなり、どちらか片方とだけでも歩調を合わせることを憶えれば、あのくらいの戦果、ああも危険に身を晒さずとも挙げられようものを』
『聞こえていますよ芝村さん。陰口は陰に隠れて仰ってくださいな』
 そこに本人が口を挟み、
『最前線から無駄話に割り込むとは、大した余裕だな、壬生谷』
 ふてぶてしく舞が応じる。
『ご心配には及びません。これくらい、悉く屠ってご覧に入れます』
 状況はまさに今舞が指摘した通りで、実際、ひとり隊から遠く離れた一号機の周囲には物凄い数の幻獣が群がり寄っている‥‥‥だが、それでも壬生谷は言ってのけるし、
『ならば、その大言に相応しい結果を示すことだ。芝村は忘れんぞ』
 舞もまた、そんな壬生谷を焚きつけることを止めはしない。
『言われなくてもっ!』
 そうして吐き捨てる声の裏にも、そこかしこに幻獣の装甲を叩き斬る音が重なっている。この激戦の最中、無駄話につきあっていられるのも壬生谷の実力があってこそだ。
『さて速水、我らは我らの仕事をしよう。あ奴にあれしか芸がないなら、それは前提として我らの戦術を考えれば済む話だ』
「そうだね」
 珍しく両手にバズーカなど構えた三号機が、遠く離れた壬生谷に群がる幻獣に狙いをつける。
『外すなよ。二発で二匹、なるべく大物を狙え』
「うん。撃ち終えたらライフルに持ち替えるよ」
『それでよい。せいぜい獲物を横取りして、後で文句のひとつも言わせてやろうではないか』
 剣の届く範囲は狭い。数にものを言わせて押し包まれるようでは対応しきれぬ。ならば、その外側にいる敵の層を薄くしてやれば、それだけ壬生谷も楽ができるであろう。
 ‥‥‥速水とふたりで作戦を考えていた時には普通に喋っていたそんなことを、だが、壬生谷に聞こえるところでは絶対に言わない舞だった。

突っ込んで斬る。[26631001][高機動幻想ガンパレード・マーチ][舞, 壬生谷, 厚志]



 アウトレンジからバズーカと92mmライフルであらかじめ敵を蹴散らし、然る後に敵中に駆け込んでミサイル。
 ‥‥‥まあ何て言うんですか、要するにブルース・おりくらはそんな風にして戦ってました、という話なんですが(^^;;;。長槍万歳。
[2663.10.02.木.]
[2663.10.02.木.] / 「AVENGER」観る。 / 膨らむ一方。 / ループ。 / 驚いた。
AVENGER」観る。
 何の予備知識もなく観始めて、0.5秒で『「NOIR」の人々ですか?』と思った。どうやらそうらしい
 ‥‥‥我がことながら、忘れっぽい上に憶えようと思っていない(苦笑)ブルース・おりくらにこれだけはっきり個性を刷り込むことができる人々って実はそんなにいないんじゃなかろうか。そういう意味においてなら、0.5秒でブルース・おりくら相手に勝利を納めることが可能な人々、とも言える。
 相変わらずの独特すぎる世界に根ざしすぎるほど強固に根ざしたALI PROJECTのOP「月蝕グランギニョル」/ED「未來のイヴ」もナイスかつブラボーにしてグー。

 で。
 観ていてなんとなく嫌な予感がするのは‥‥‥ひょっとして、それで魅力は全部なんじゃないの、な予感がしてしまうところかも(^^;;;。
 今後の展開でコレがおもしろくなっていく様、が想像できないというか。「刷り込みの成功/失敗」と「おもしろい/つまんない」は別のモノサシだからなあ。
 このチームはOPとかEDとかみたいなトコだけ作ってれば好みなのに、は言い過ぎ?(爆)
膨らむ一方。
 結局、先月の日記はファイルサイズで193,921Bytesとかになった模様。
 ‥‥‥つーか、たかだか1ヶ月分の日記テキストごときが、大体200KB(^^;;;。むー。

 : 今月も何もしないで様子見るけど、もし月別ファイルを分割する方向で対応するとしたら、最低3分割はされてないと意味ないんだろうなあ。
 : 総計で200KBを越えるものと仮定すれば、半分ずつだと各々が100KBになりますし。100KBもあっては、充分に小さい、とは言えませんよね(苦笑)。
ループ。
「‥‥‥今度の週末?」
「そう」
「図書館で一緒にお勉強?」
「ああ」
「北川くんが?」
「うん」
「誰と?」
 かっくん。‥‥‥項垂れた、というより、北川の首が身体の前に落ちた。
「聞いてなかったのかよ美坂」
「聞いてたけど、そこについてはまだ何も言ってないでしょ北川くんは」
「だってわかるだろそこまで言えば普通は! 一から十まで説明すんのかよっ!」
「そうね。詳細な説明を要求するわ」
「ああああああああああああああああああああああああ」
 もどかしげに自分の髪を掻き回す。
「だから俺と美坂が、今度の週末、図書館で」
「ええ」
「一緒に勉強するのはどうか、という提案をだな」
「誰と誰が?」
「だから俺と美坂で」
「いつ?」
「こんのやろー」
 握り締めた拳を震わせるが、それも結局、握った拳のやり場に困るだけのことだった。
「それで、話は終わりかしら?」
「終わってるワケねーだろっ!」
「ならさっさと進めて欲しいんだけど。ええと、どこまで聞いたかしら」
 意地悪く、にやりっと香里は笑ってみせる。
「ぐぬぬぬぬぬぬっ」
「それとも、ギブアップかしら?」
「いーや負けない負けるものかっ」
「ふーん。ま、頑張りなさい」
 もういい加減諦めてしまいたい気持ちもまったくないではないのだが、冷たくあしらいにかかる香里の口調はあくまで他人ごとのようで、それがまた北川の苛立ちに油を注ぐ。
 爪の痕が残りそうなほど固く握られた北川の手を眺めながら、香里は足を組み直す。どうやら香里の方にも、そこで呻いている北川を置いて立ち去るつもりはないらしい。
 ‥‥‥本人同士はそんな風でも、傍から見ている分には、いいコンビといえばいいコンビ、なのかも知れない。

ループ[26631002][Kanon][香里, 北川]



 ごめんなさい。「妹なんて」から「頭寒足熱」までの6本で主要キャラは全員出したつもりでしたが、よぉぉぉぉぉく考えてみたところ、実はこの期間に書いたものの中には北川が一度も登場していなかったことに気づいてしまいました(爆)。
 というワケで慌てて北川話を一席。いや本当はRomancing SaGaあたりで書こうとか考えてたんですが御破算(^^;;;。
驚いた。
 もう海幸ちゃんも3歳だもんなー。

 そんなこんなで実家方面の友達から電話。3日前だから29日か、第二子誕生とのこと。おめでとうと伝える。
[2663.10.03.金.]
[2663.10.03.金.] / grand-guignolesco, grand-guignoloso(形) / providence. / うわ、香ばしいなあ(^^;;;。
grand-guignolesco, grand-guignoloso(形)
 グラン・ギニョール調の。(主に映画、演劇に対して)猟奇的な。
    (参考)
  1. 語源は仏語の形容詞 grand-guignolesque。この仏語の更なる語源であるグラン・ギニョール(Grand-Guignol)とは、残虐で猟奇的な芝居を売り物にした19世紀の仏・モンマルトルの劇場の名前。Grand-Guignol は、仏語同様に伊語でも男性名詞として扱われる。
  2. grand の後のハイフンが省略される場合もある。
  3. grandguignolesco は、granghignolesco, granguignolesco と綴られることもある。
 日本伊製恐怖映画協会のホームページ>索引>伊製恐怖映画用語伊和辞典>G より引用。
 「月蝕グランギニョル」の「グランギニョル」はこういうコトらしい。メモ。
providence.
「なあ多香子、ちょっと聞きたいんだけど」
「何? ボク今忙しいから、難しい話は嫌だよ?」
 拭き掃除に忙しい多香子は、その時点では振り向きもしなかったが、
「いや、大した話じゃない。籤のことなんだけどさ」
「籤って? お神籤のこと?」
「ああ」
「籤がどうしたの?」
「あれ、大凶はどれくらいの確率で入ってるんだ?」
 そこで初めて、怪訝そうに多香子は振り返る。
「なんで宮司がそんなコト知らないのよ。‥‥‥どれくらいだと思う?」
「わかんないから聞いてるんだろ」
「自分で数えてみたら? ボクと違って暇でしょ?」
「ったく、ちょっと忙しいとコレだからな多香子は。わかったわかった、亜美にでも聞くよ」
「亜美だって忙しいんだから、あんまり迷惑かけちゃダメだよ?」
 へいへい、と適当に答えながら宮司は背中を向けた。
「ったく。多香子の機嫌ときたら、大凶引くより始末に負えないぜ」
「引いたコトなんかないくせに」
 遠くなる声に向かって多香子は呟く。
「だから、それを引いちまったからわざわざ聞きにきたってのに」
 返答があるなどとは想像もしていなかった多香子の耳に届いた捨て台詞は、
「‥‥‥ひ‥‥‥引いたぁ?」
 だが、多香子の予測の範疇からは最も遠い事実を語っていた。
「引いたって、どうやって!」
 素っ頓狂な声を上げて、思わず多香子は床の布巾から手を離す。
「どうやってもこうやってもあるか。引いたら出てきた棒がそうだったんだから仕方ないだろ」
「だからそんなワケないって!」
「そんなワケないってどういうコトだよ」
「ないったらないんだよ! あれは‥‥‥あ、わかった宮司、ボクをからかってるな?」
 いきなり相好を崩した多香子はわざとらしく肩など竦めてみせた。
「まだ言ってんのか。もういいよ、わかったわかった」
 いい加減に手を振って、宮司はその場を離れていく。
「確率も何も、大凶なんて最初からひとつも‥‥‥だって、そんなの入ってない、筈なのに」
 嘘をついているようにはまったく見えない宮司の背中に、多香子の呟く声も今更届きはしなかった。

providence.[26631003][ねがい][多香子, 宮司]



 そんなこんなでまあ、改めてKanonじゃない話を(笑)。
 選ぶことのできる選択肢が多くて困るケースと少なくて困るケースがあるワケですが、今回の「ぷ」ってのも実は選べるものが多すぎて困るケースでした。むー。
うわ、香ばしいなあ(^^;;;。
 「頭使わない人多いのかなぁ」(うしとらのたわごと)→がんばれ*2 やまぐう→ブルース・おりくら。

 『他の人が迷惑だからそんなポリシー捨ててしまえ。そんなたわけたポリシー捨てないなら質問するな。』に同意。
 や、「YsVI -THE ARK OF NAPISHTIM-」自体のことについては知らないので難易度云々のことには何とも言えませんが、「マニュアル読め」に対する回答が「マニュアル読まないのがポリシーなんです」、はいくら何でも酷すぎる気が。
 そもそも、それで本人はセーブができないわ、マニュアル読めば書いてあるようなことを説明する手間をかけさせられる人がいるわで、目に見える形で不幸になっている人は沢山いますけど、そのポリシーを曲げないことによって、一体、誰が幸福になったでしょう?
 個人的な心情としては、それくらいのコトにも思い至れないで他人に平気で迷惑かけるような馬鹿に「ポリシー」とかいうコトを偉そうに語って欲しくない感じです。誰のためにも‥‥‥それこそ本人のためにすらなっていないようなポリシーなんぞ、『捨ててしまえ』、とブルース・おりくらも思いました。
[2663.10.04.土.]
[2663.10.04.土.] / 13時ちょい過ぎ。 / 17時前くらい? / 今日いちばん驚いたこと。 / 渋いというか、 / 西瓜。 / 「ヤミと帽子と本の旅人」が。
13時ちょい過ぎ。
 いろいろあって、これから出発して拡大に出向く話に。
17時前くらい?
 スタッフ登録を済ませて集会から離脱。
 弟のHDDとか僕の携帯その他とかいろいろ買い物のため秋葉原方面へ出向く予定。
今日いちばん驚いたこと。
 道々マンガに強そうな書店を見つけたので、まだ買ってなかったあずまきよひこ「よつばと!」を入手すべく立ち寄る。
 ‥‥‥で、「よつばと!」も買ったんだけど、そこで見つけたのが。

 桐嶋たける「完全版 でもホントはカバが好き」。

 買いましたええ買いましたよいや買いましたとも。
 懐かしすぎるー! しかも完全版。みのり書房の時の単行本よりも内容多いし、カバーとか、今描いたらこうって感じの絵なんかもいろいろあって、なんかもう、もう、嬉しすぎるーっ!
渋いというか、
 「ねがい」とかまでご存じですかやまぐうさんは、の方が印象としては強いような(^^;;;。

 ちなみに「providence.」については、飴玉「ねがい」のページに、
 タイトルの大元は某ガンダムSEEDの最後の最後に登場した「11機めのガンダム」の名前で、確か意味は「神意」とかそんな感じの筈です。
 ちなみに、登場が予定されていたガンダムは全部で10機、という事実なんかからもちょっとヒントを得ていたりとか(^^;;;。
 こういうコメントがつくことになっています。まだアップしてませんが用意はもう済んでいますので後は時間の問題です。
 ですからまあ、全然内容は違いますけどモロに例の11機めのイメージというか、多分、公約通りにガンダムが10機で終わってたら思いつかなかった話、ではあるのでした(笑)。
西瓜。
「恵くーん、開けて開けてー!」
 とドア越しに部屋の中へ叫びながら、がんがんがんとそのドアを蹴っているのは、もちろん、橘さんで。
「ねえちょっと、いるんでしょ恵くんってばっ!」
 いつもならノックもなしでいきなり開けるドアをいつまでも蹴りまくっているコトにどういう理由があるのかは知らないけど。
「開かないと思うよ? だって」
 取り敢えず僕は声をかけることにした。
「えっ?」
「僕、外にいるし」
 自分の部屋の外側。
 つまり、橘さんの背中の方から。



「まったく、なんで中にいてくれないのよっ!」
「って、なんで怒鳴られなきゃいけないんだよ? 僕にだって僕の都合があるでしょ」
「ダメよ! 私が重いじゃない!」
 何ていうかもう、この辺になるとほとんど言いがかりに近い。
「それはポテチの食べすぎ」
「違うそういう意味じゃない!」
 噛みついてきそうな顔をしているが手は出てこない。
 って、そういえばさっきから、
「何持ってんの、それ?」
「だから手が塞がってるの! もっと早く気づきなさいよね」
 重そうに胸の高さまで持ち上げてみせるのは、
「す‥‥‥い、か?」
「そうよ」
「なんでこんなのが?」
「どうだっていいでしょ」
 ぶすくれた声で呟く。



「さ、切って切って、恵くん」
 部屋に入るなり、ぼすっとテーブルに置いた西瓜を、橘さんは指差す。
「ひょっとして橘さん」
「ん?」
「自分で切るの、面倒くさかっただけなんじゃないの?」
「だって私が切ると綺麗に半分にならないんだもん」
 次に手渡されたのは包丁だ。
「いいから切って切って。今年始めての西瓜なんだから」
 っていうか、西瓜といい包丁といい、どっからこんなもんを?
「いいけど、何等分するのさ?」
「へ? 二等分でしょ? 恵くんと私しかいないじゃない」
「僕、こんなに食べられないよ?」
「でも食べちゃわないと、ここ冷蔵庫なんかないでしょ?」
「だったら、周りの部屋にお裾分けするとか、何かこう」
「ダメよ! せっかく」
 ‥‥‥『せっかく』何だったのか、その時、僕にはまだわからなかったけど。

西瓜[26631004][此花トゥルーリポート][美亜子, 恵]



 多分これならやまぐうさんでも御存知あるめえ、とか思ってみたり(笑)。
 それにしても、やっぱしブルース・おりくらって実際はゲームやってないんだなあ、とも。こういうことが書けるほど中身を知ってるタイトルはそう沢山はないし。‥‥‥積んでる場合じゃないよなあ(^^;;;。
ヤミと帽子と本の旅人」が。
 知らないうちにアニメになってたらしい。持ってるんだけどまだ封も切ってないんだよな(^^;;;。
 ‥‥‥このアニメずっと観て、おもしろかったらゲームの封を切る、というのはどうだろう?(爆) ←本末転倒です

 ちなみに、J-COM浦安MXテレビは9チャンネル。後日のためのメモ。
[2663.10.05.日.]
[2663.10.05.日.] / 「providence.」に。
providence.」に。
 誤字がある、とやまぐうさんから指摘があったので慌てて修正。
 希望がひとつ付いていたので、次に「ず」に回ったら「(ドリフの)ズンドコ節」‥‥‥って確か掲示板で小夜さんもそんなコト言ってなかったっけ? あれは氷川きよしの方だっけ?

 : とはいっても、よく考えてみたら「ズンドコ節」がどういうもんだかよく知らないんだよな(^^;;;。
 : それでは、「ず」に回らないように繋げて、その間に内容を調べておく、しかないかと。
[2663.10.06.月.]
[2663.10.06.月.] / 起きたら、 / 「仮面ライダー555」観る。 / 海図。 / 嬉しい悲鳴。
起きたら、
 今日でした(爆)。
 昨日のうちに書こうと思っていた諸々のことは今日に持ち越し。
仮面ライダー555観る
 カイザ草加さんもいい加減気づいたらどうなのか(笑)。‥‥‥ってもまあ、同窓会云々の事情を考えると、実は随分前から気づいている、という可能性も非常に高いが。

 チーム馬に合流するものとばかり思っていたのに蓋を開けたら普通に漂流生活していたたっくんを無理矢理連れ帰り、それによってますますギスギスしていくチーム洗濯屋。けーたろや真理たんはそれでも頑張って歩み寄ろうとするものの、頑張らないと歩み寄ることもできない時点でダメだろう、やっぱり(^^;;;。
 後は、同窓会を襲撃したオルフェノクが狼だった、という問題。でも、たっくんを始め、関わる全員の反応は「たっくん以外に狼はいない」ことを前提にしているけど、そもそも同じ形態のオルフェノクって本当に世界で1体しかいないものなんであろうか? そんな筈はないと思うんだけど。
 あれは多分「たっくん以外の狼」ってオチになるんじゃないかなあ?

 ちなみに今週のオルフェノクは蛸。見た時は烏賊かと思ったんだけど、そういえば烏賊はもう出ていたのだった。不覚。

 社長の「ようこそラッキークローバーへ!」はなかなか迫力のあるひとことだったなあ。
海図。
「魔の島? 魔の島って何だ嬢ちゃん、あの魔の島のことか?」
 その反応は、訊き返したというより、訊かれたことを鸚鵡返しにしただけ、だった。
「ん。どうしてもそこへ行きたいっていう人がいて、オービルの桟橋から、毎日毎日、ずーっと海を見てるの。もしかして船長さんなら、連れて行ってあげられるんじゃないかな、って思って」
「そんなの別に、嬢ちゃんが自分でやってやらなくたっていいだろう?」
「それはそうなんだけど」
 訊いた少女の方はそれ以上は何も言わず、船長さん、と呼ばれた男の次の言葉を待つ。
 ‥‥‥そのうち、根負けしたように、手にしたグラスの中身を船長は呷った。
「まして俺なんざ、今じゃ陸に上がったカッパさ。他ならぬ嬢ちゃんの頼みだ、船さえあればどこへなりとも連れて行ってやるがな」
 自嘲気味に呟きながら、仄暗いパブのカウンターに、船長は懐から掴み出した紙をがさがさと並べる。
「これだ。この海図のこっちの端」
 中から一枚を引っ張り出し、持っていたグラスの端で、その一点をこんこんと叩いて示す。
「危ない噂しかねえ島だからな。用もなかったし、今んところ俺が自分で上陸したことはねえが、ここに書いてあるのが魔の島だ。‥‥‥何だ黙っちまって、海図が読めねえか?」
「そうじゃなくて。行き方は恐らく自分しか知らないだろうって、あのお爺さんは言ってたから」
「そりゃ、普通に生きてる奴らなら、公認商船じゃねえ船と縁のある奴なんざそうはいねえさ。そんな連中が魔の島なんて知ってるワケがねえ」
 そんな連中と海賊を一緒にするなよ、という響きが、言外に色濃く滲んでいた。
「知ってるか? 帝国が商船向けに出してる海図なんかな、ありゃ酷いもんなんだぜ? 図じゃねえんだ大体。目印になるものがちょこっとメモしてあるだけでな。港と港を行き来するだけなら困らんのかも知れんが、あんなんじゃガキの使いと変わらん。そこへいくと海賊は違う。俺たちにとって、本当に大事なものは船でも武器でも財宝でもねえんだ。海図こそ俺たちの宝。誰も知らない海と戦いながら、命を賭けて版図を広げてきた海賊共の勇気の証し‥‥‥」
 陸に上がっていようとも、カッパとしての矜持は揺らがないものらしい。
 話すうちに熱を帯びてくる船長の横顔を、少女は嬉しそうに見つめている。
「何だよ。小っ恥ずかしいじゃねえか」
 視線に気づいたか、唐突に言葉を切って、もう一度、船長はグラスの中身を一気に呷った。
「船長さん」
 その示す意味を愛おしむように、少女は『船長さん』という言葉を口にする。
「船長さんの力とその海図が必要なの。連れて行って、魔の島へ」
「お安い御用さ。海に戻れるってだけで報酬は充分だ。いい加減、干乾びちまいそうだったんでな」
 すぐに酒で満たされたグラスを、船長は少女の目の高さに掲げてみせた。
「オーケー、一緒に行くぜ」

海図[26631006][Romancing SaGa][船長, 少女]



 タイトルは酔狂先生。
 ‥‥‥つーか、謀られました。大体「海図」なんてテーマで何をどうしろと、という非常に頭の痛い問題も然ることながら、実はクリアするとその次は「ず」なので「ズンドコ節」確定、という二重の罠が。

 まあ取り敢えずは目先の難問である「海図」の方。
 実はWith Youでやろうとかその辺いろいろ考えないコトもなかったんですが、やっぱりどうにもならなかったので(^^;;;、順当すぎるのが気になるところながらRomancing SaGaで手堅く。こーゆーゲームも扱ってるブルース・おりくらでよかった。ありがとう自分(笑)。

 そして明日は「ズンドコ節」かー。‥‥‥むー(苦笑)。
嬉しい悲鳴。
 先日の「providence.」に関連して、ありがたいことに、やまぐうさんからSSを1本いただいてしまった。
 だからそれを早く、すぐにでも公開したいところなんだけど‥‥‥こうして本当にいただきものなど受け取ってみると、ブルース・おりくらの気持ちの問題じゃなく、そういったものの受け入れ態勢とかそういうシステマティックな部分が実際には何も機能してなかったコトに大慌てしてしまう(^^;;;。うーむ、情けない。

 ちなみに、『「ズンドコ節」がきつい』という話ですが。
 自分の思うに任せない、そういうキツいシチュエーションが勝手に他所からやってくる(笑)のも、ブルース・おりくらがこの企画で重点的に練習に使っている要素のひとつですので、それはそれで構わないというか‥‥‥例えば最後は断念するにしても、ギリギリまではそのまま悩み続けないと意味がない、のでした。
 ですから、お気遣いは嬉しいのですが、取り敢えずは最初にAcceptされた「ズンドコ節」のままで進行させるつもりでいます。
[2663.10.07.火.]
[2663.10.07.火.] / 真実はいつもシンプル。 / 『ブルース・おりくらは他からどんな風に思われてるか』チェック#01. / ズンドコ節。
真実はいつもシンプル。
 せいるさんとこのアーカイヴの話。
 自分で作ったMeDoc形式ファイルの表示が途中でおかしくなることに今朝気づいた。「Tea Break」までは大体ちゃんと読めてたんだけど、「Tea Break(2)」を読もうとすると内容の代わりにしばらく目次のページが断片的に表示されて、その次に出てきたSSが「風邪を引いた場合」だから‥‥‥どうやら、ある程度のところで振り出しに戻ってしまっているらしい。

 : 作ったデータの方を調べてみた結果としては、PC上で確認する限りにおいて内容は全面的に大丈夫であること、が確認できている。
 : つまり、作ったデータがおかしい、という問題ではないのですね?
 : そうみたいだね。だからもう、「Palmで見るからおかしい」って部分にしか疑いどころが残ってない状況かな。

 そんなこんなでPalm側もいろいろ試してみたところ、普段使っていたCrs-MeDocではダメだが、PooKだとちゃんと見られることが判明。どうもビューア固有の問題で、Palmの仕様とかそういう問題ではなかった模様。‥‥‥そういうローカルな問題でよかった、と喜ぶべきなのか、これでまた「Palm限界説」とかにかこつけて端末移行を強行するチャンスを逸した、と悲しむべきなのか?(^^;;;
 でもPooKはサブディレクトリを扱う能力がないからちょっと使いづらいんだよなあ。というコトで当面、せいるさんアーカイヴ専用ビューア(笑)としてPooKを使い、それ以外は従来通りCrs-MeDocを使うとか、なんかそんな感じで切り分ける方向で。

 : それはそうと、まだそんなところを読んでいたのですね、旦那(笑)。
 : や、全体の進捗からすれば確かに全然進んでないように見えるかも知れないけど、でもここまでだって随分たくさん入ってるよ?(^^;;;

 職場の行き帰りだけで読破するのにはえらく時間がかかりそう。
『ブルース・おりくらは他からどんな風に思われてるか』チェック#01.
 えーと。
 何となーく気が向いて有楽町ソフマップへ赴き、発売日が9月26日だったらしいエロゲの中から、店頭で1本選んで買って帰ってきました。

 ‥‥‥さて問題です。ブルース・おりくらが買ったソフトのタイトルは何でしょう?(爆)
    ヒントになってない可能性の高いヒント:
  1. 何が9月26日発売のゲームだったのかとか、予備知識はほとんどありませんでした。平積みになってた中から選んで、買って帰って調べたらやっぱり9月26日発売だった、くらいの感じです。
  2. ですから、最初から「買おうと思っていたタイトル」があるワケではありません。
  3. 故に、ほとんど箱の裏書きにある内容の概略とパッケージ絵だけを頼りに、その場で選んで決めています。
  4. 以上を踏まえた中では‥‥‥なんせ他をよく知らないので何とも言えませんが(苦笑)、割と「ブルース・おりくらが選びそうなゲーム」だったなあ、とは自分でも思います(^^;;;。
  5. 最後にひとつだけ、候補を潰しておきましょう。「天使のいない12月」ではありません。
ズンドコ節。
『ぅおっ昼だよぉーんっ☆』
 チャイムが鳴り止むのとほとんど同時くらいのタイミングで、美亜子の能天気な声が校舎内を席巻した。学校中のスピーカーはそのまま一気に放送部の昼番組に雪崩れ込んでしまい、僅かに遅れて、あちこちの教室が昼休みらしいざわめきに満たされ始める。
「‥‥‥コレが始まると、私、いっつも思うんだけど」
 まだ教卓に広げた資料を片づけていたみちるが、誰に言うでもなく、ぽつりと呟く。
「チャイムが鳴るまでは信楽さんも授業受けてる筈なのよね。どうやって抜け出してるんだろ?」
「あ、あっはははははっ‥‥‥さあ?」
 そこで急に視線を寄越されても、真奈美としても苦笑いするくらいしか反応のしようがない。別に真奈美がそれを手引きしているわけではないのだから、その反応もおかしなものではなかった。
「ま、いいわ。こういうのは現行犯逮捕じゃないと説得力ないし」
 みちるはあっさりと追求を諦めて教室を去り、真奈美は何故かほっと息を吐く。
「まあ、真奈美が安心してやるようなコトでもないだろ。あのバカひとりが全面的に悪いだけだし」
「え? まあ、そうだけど」
 冴子の言うことは間違っていないとはわかっていて、だからといって「はいそうですか」とは頷けないところも、真奈美の性格、という奴であった。
『それじゃ今日もお昼の特集行くよーん☆ 今日はぜーんぶ同じ曲だからみんなカクゴするよーにっ!』
 苦笑いする真奈美の気持ちもあっさり突き放す冴子の態度も全部引っくるめて、自分のことを景気よく遠くの棚に放り出した美亜子の声は、それだからなのか、何がそんなに愉快なのかと時に誰かが首を傾げたくなるくらい、突き抜けて楽しげな響きを遍く校内にばら撒いていく。



「って、軍歌?」
 箸を咥えたまま、菜織は怪訝そうにスピーカーを見上げた。
「菜織ちゃん、お行儀」
 すかさず乃絵美に突っ込まれ、慌てて菜織は口から箸を引き抜く。
「ああ、ズンドコ節だろ?」
 当たり前のように冴子が答えた。
「ズンドコ節って? あの誰だっけ、この間演歌の歌手が」
「それもそうだけど、確かもともとはホントに軍歌だったってどっかで聞いた気がする。それがコレなんだろ、多分?」



 汽車の窓から手を握り 送ってくれた人よりも
 ホームの陰で泣いていた 可愛いあの娘が忘られぬ



「‥‥‥ふーん。そうかもね」
 納得したように菜織が呟く。
 勿論、ここにいる面々が軍歌に詳しい筈もないが、やけに古めかしい言い回しからして、それはそれなりに説得力のある発言だった。
「でもさ、なんかこれってえらく真面目な歌詞に聞こえるんだけど、なんで間がズンズンズンズンズンズンドッコなのかな?」
「さあ? そこまでは」
 投げ遣りに答えながら、冴子はアルマイトの弁当箱からごはんを掻き込む。
「乃絵美ちゃん、これってそんなに有名な歌なの?」
「うーん、私あんまり詳しくないから‥‥‥」
「サエが詳しいんじゃない?」
 菜織が水を向けるが、冴子は相変わらず、ほとんど日の丸弁当に近い弁当箱の中身を掻き込むのに忙しい。



 元気でいるかという便り 送ってくれた人よりも
 涙のにじむ筆のあと 愛しいあの娘が忘られぬ



 真奈美は興味津々な顔で、スピーカーから流れる歌に耳を澄ます。
 齧りかけたサンドイッチはさっきからずっと手に持ったままで、聴き入っている間はずっと食事も中断されていた。



『さーみんなー、ホンモノはどーだったかなぁ? ちょーっとクラい感じもしたけど、そんなワケだから次は明るいので行ってみよーねっ☆』
 呆れるほどハイテンションな美亜子の声に続いて、何やら似たようなメロディの曲が聞こえてきた。
「これもズンドコ節?」
「ああ、ドリフだろ。‥‥‥ぜーんぶ同じ曲、ってそういうコトかミャーコめ」
 言い捨てながら、手元の大きな弁当箱に蓋をする。
「え?」
「ズンドコ節ばっかりなんだろ今日の昼は。何種類あるのかなんてあたいも知らないけどさ。よく見つけてくるよなアイツも、そんなにヒマなのか放送部って?」
 『でっかいヒップ』だの『やってきました倦怠期』だの、さっきとは打って変わってチープな歌詞に、それでも真奈美は聴き入っている。
「真奈美、サンドイッチどうにかしたら?」
 呆れたように菜織が言う。
「早く食べないと、お昼休みが終わっちゃうよ?」
 ちょっと心配そうに乃絵美が言う。
「こっちのサンドイッチ、要らないんならもらっちまうぞ?」
 冗談めかして冴子が言う。



 汽車の窓から手を握り 送ってくれた人よりも
 ホームの陰で泣いていた 可愛いあの娘が忘らりょか



 そこまではやたらチープな歌詞だったその「ニセモノ」は‥‥‥最後の最後になって急に、「ホンモノ」と美亜子が呼んだ歌の一部を繰り返した。
 たまたま目を閉じていた真奈美の脳裏に、六年前の風景が像を結ぶ。
 思い出したくないのに忘れられない、それは、あのさよならのシーンだった。
 追いつけなかった正樹の小さな姿がどんどん遠くなっていって、



 窓から手を握り。
 送ってくれた。
 ホームの影で。
 忘らりょか。
 ‥‥‥忘らりょか。



 もうその歌詞のあたりは通りすぎていて、スピーカーから流れる歌は能天気にズンドコズンドコと繰り返しているのに。
「あー‥‥‥あのさ、あたいそういうのイマイチわかってないから、変なコト聞いてるかも知れないけど」
 ぽりぽりと頬を掻きながら、ひどく言いづらそうに冴子は口を開く。
「真奈美、なんで泣いてるんだ? 誰かなんか変なコト言ったのか?」
「へ? あたし?」
 小さく驚きの声を上げたのは他ならぬ真奈美自身だった。
「あれ?」
 声に反応して、そのテーブルを囲んでいた全員の視線が集まる先で、
「あたし‥‥‥あれ? 泣い、てる、のかな?」
 たった今、真奈美の目尻から零れた涙は、まっすぐに頬を伝って、机に敷いたナプキンをぽつぽつと濡らしていた。

ズンドコ節[26631007][With You][真奈美, 美亜子, 冴子, 乃絵美, 菜織, みちる]



 タイトルはやまぐうさん。‥‥‥あんまりちゃんと聴いたことがないのは実は本当に本当のコトなので、今パッとできるのはこんなトコロになってしまいますが(^^;;;。
[2663.10.08.水.]
[2663.10.08.水.] / 3/14. / 『ブルース・おりくらは他からどんな風に思われてるか』集計中。 / 真・ズンドコ節。
3/14.
 ようやく「1st Season 夏」読了。続けて「1st Season 秋」へ。
 何もしてない時ならひたすら読んでられるからこんなに時間かからないと思うんだけど‥‥‥日に1本(苦笑)SS書かなきゃとか、他にやってることがあると、やっぱり読むのも遅くなる。
ブルース・おりくらは他からどんな風に思われてるか』集計中。
 なんか反応があるみたいなので集計中。内訳内部は敬称略にて失礼。
    有効投票数:3 / 投票総数:3
  1. 月は東に日は西に」:3
    木村小夜, 酔狂先生, 朝館
    木村小夜 : 次点は「Theガッツ!5」(笑)。個人的には「あゆみちゃんLABO」。
    酔狂先生 : とりあえず、第一感での本命は「月は東に日は西に」ですか。空からヒロインが降ってくる辺りが。ちなみに対抗はCross Channelです
 てなワケで内訳は以上の通りというか、今のところは全員一致で内訳も何もない有様(笑)。
 取り敢えず一週間程度はこのまま放っておく予定。なので正解はまだ内緒。

 : 当たっても何も出ないけどな(w。
 : ぇー?
 : ぇー?
 : ‥‥‥「ぇー」って言うなー(^^;;;

 あ。そうそう。
 ブルース・おりくらなんて全然知らないぜって人が適当にエンピツ転がしてチョイスするのも「どーしてもブルース・おりくらにコレを買わせたい」という欲望が必要以上に先行してるようなのもあまつさえブルース・おりくら云々よりむしろヲレが欲しいとかそんなのでもみんな引っくるめて「全然アリ」ですので(笑)、あまりカタく考えないでちゃっちゃっと適当にどうぞ。
 手段も問いません。ブルース・おりくらから見えるようにアピールしてくだされば。
真・ズンドコ節。
『さて! 今日のお昼の放送もそろそろ時間となりましたっ。ううっ寂しいねぇ、うるうる』
 と言ってはいるのだが、ううっ寂しいねぇ、が全然寂しそうに聞こえないあたりが、ある意味では美亜子の限界なのかも知れない。‥‥‥もっとも、校舎のそこかしこで一斉に「えーっ?」と野太い不満の声を上げた男子連中などは、そんな限界が云々なんて毛ほども気に留めていないに違いないが。
「いつも凄いね、ミャーコちゃんのファンの人たち」
 感心したように乃絵美が呟く。
「アイツにファンなんているのか? 昼休みが終わって欲しくないだけなんじゃねーか?」
 冴子の反応はあくまでも冷静だった。
『というワケで本日お昼のラストナンバーは、なんとなんと、「真・ズンドコ節」なのだよ諸君っ☆』
 そして美亜子はどうやら本当に、最後の最後までズンドコ節で通す気でいるらしい。
「真って‥‥‥ねえサエ、そんなのもあるの?」
「あ? や、知らないけど。っていうか菜織、あたいをズンドコ節ハカセか何かと勘違いしてねーか?」
「あれ違ったっけ?」
 戯れに殴りかかる冴子のいい加減に握られた手から、
「きゃあああ助けてえええ」
 菜織は真奈美の後ろに隠れることによって逃れようとした。
「もう、菜織ちゃんってば」
 真奈美はとっくに泣き止んでいた。
 今はもう、そんな不安に泣く必要なんてない筈なのに、それでも、そういうことはたまにある。‥‥‥ぽん、と真奈美の肩に手を置いた菜織が伝えたいと思っていたことは、口で言わなくても真奈美にはちゃんと伝わっていて、だから真奈美は振り返りもせず、置かれた菜織の手の上に自分の手をそっと添えるだけだった。
『こほんこほん。あーあーあえいうえおあお。‥‥‥さあ、ミュージック・スタートっ!』
 放送室の外のことなど知る由もない突撃レポーター兼お昼休みのアイドルは、おもむろにそう宣言しながら、ぱちん、と指を鳴らして。
 そして。
「‥‥‥自作自演かよっ!」
「あははははっ! 何よこの歌詞っ!」
 バカ負けした冴子たちの大笑いする声すら掻き消すような大音響で、フォークギターをバックに自ら歌い始めた美亜子の能天気な歌声が、再び、校舎内を席巻するのだった。

真・ズンドコ節[26631008][With You][真奈美, 美亜子, 冴子, 乃絵美, 菜織]



 タイトルは小夜さん
 「真・ズンドコ節」がどんな中身だか全然知らないので仮にそれが存在してその中身がどんなものであったとしても内容に支障を来さない方向で纏めてみましたがこれでどーだゴルァ(w。
 つーか、よくよく考えてみると、これがしりとりSS史上初の「ちゃんと内容が連続している」連作SSだったりとかも。‥‥‥いーのか本当にこんなんで。

 それと、全然どーでもいいんですが、「ずいずいずっころばし」とか「ズンドコ節」→「真・ズンドコ節」とか、なんか振り返ってみると、「ず」の後って「し」なんですけど(^^;;;。むー。
[2663.10.09.木.]
[2663.10.09.木.] / しくじりました。 / けてーい。 / 「GUNSLINGER GIRL」観る。 / ごめん眠い。
しくじりました。
 目を覚ましたら予定の1時間後だったので出勤時刻も1時間遅れ。むー。

 ラジカセをテレビの音声出力に使ったまま電源を切ってなかったみたいだから、そっちが鳴らなかったのはブルース・おりくらのミスとしても、1時間遅れて目を覚ました段階で、目覚まし時計は1時間前に鳴るように仕掛けられたままの状態だった。
 やっぱこの目覚まし時計は怪しい。早々に買い替えよう。

 : 今までならまあ、こういうケースの場合は大概午前休とかにしちゃってたんだけどさ。
 : それもどうかとは思いますが(苦笑)、でもそれなら、今日はどうして遅刻して出社なんですか?

 ウチの会社には誕生日休暇という制度があり、先月27日は誕生日だったが同時に土曜だから普通に休日でもあったし、そういう場合はその週末の前後くらいで使うことを推奨されてはいるものの、たまたま忙しい時期だからおいそれと休むわけにもいかなかったしで、休暇が1日分、そのまま宙に浮いていたのだった。
 上司の承認がある場合は日付をずらしても構わないコトになっていて、だから繰り延べにした誕生日休暇を今度の金曜か火曜に割り当てて、もともと3連休だったものを4連休にしようと企んでいる昨今のブルース・おりくらとしては、中途半端に途中に休みを挟むことによって4連休を3連休に減らすよりは、4連休を確保するために1発喰らっといた方がマシ、という損得勘定の話。

 ‥‥‥「時々怒られるくらいで毎日遅刻できれば安いモンよ」という台詞が、こういう時にはちょっと頭を掠めたりもする。あれは朝日奈だっけ?
けてーい。
 金曜か火曜かは流動的だった追加の休日だが、18時頃(笑)金曜日に決定。
 つーコトで明日から4連休Yeah!
GUNSLINGER GIRL」観る。
 原作を読んでても思うんだけど、正直に言ってしまえば、やっぱり、気持ち悪い話。
 物語とか世界とかには多分に惹かれるものがあるんだけど、要約しちゃうとそれは「不幸の代わりに不幸を押しつけられた少女たちが生命のやりとりを通して自分の存在を証し立てようとする話」なワケで、もうそのコンセプトからして気持ち悪い。‥‥‥観ちゃうけど(^^;;;。
ごめん眠い。
 今日は「信じるものはすくわれる」というタイトルで書くつもりでしたが‥‥‥書くこと自体は大体決まってるんですけど、今日の眠気もいい加減異様なのでもう寝ます。うう。
[2663.10.10.金.]
[2663.10.10.金.] / 4連休開始Yeah! / 『ブルース・おりくらは他からどんな風に思われてるか』集計中。 / 信じるものはすくわれる。
4連休開始Yeah!
 ‥‥‥の筈だったんだけど。

 : ぱぱさまー? げんきないですかー?
 : 経緯が経緯だからなー(苦笑)。

 14時30分頃、機種変更をお願いしようとまさに店のカウンタへ向かいかけたところでその携帯に着信が入った。連絡してきたのは上司で、この間までブルース・おりくらが製造していたSQLにバグがある、できたら来て直して欲しい、という内容で。
 結局機種変更を諦め、私服のまま職場へ。

 : で、よくよく調査してみたら、問題はプログラムじゃなくて、連絡してきた上司が作ったデータファイルの方にあった、という非常にアレなオチ(苦笑)。
 : お、お疲れさまです(^^;;;。
 : まあ結局、そのファイルに合わせる形でSQLもちょっと直したから、まるっきり無駄ってワケでもなかったんだけど。

 そんなワケなので、今というタイミングは携帯の機種変更と縁がないのだ、と思うコトにした。延期延期。ああまったく。
ブルース・おりくらは他からどんな風に思われてるか』集計中。
 なんか反応があるみたいなので集計中。内訳内部は敬称略にて失礼。
    有効投票数:4 / 投票総数:4

  1. 月は東に日は西に」:3
    木村小夜, 酔狂先生, 朝館
    木村小夜 : 次点は「Theガッツ!5」(笑)。個人的には「あゆみちゃんLABO」。
    酔狂先生 : とりあえず、第一感での本命は「月は東に日は西に」ですか。空からヒロインが降ってくる辺りが。ちなみに対抗はCross Channelです

  2. メルティ・メルヘン」:1

     : 本命メルティメルヘン、対抗罪囚、大穴月東日西。つうか、26発売のエロゲーを把握しきれん。うえに、好みだけで買わない傾向があるから読めねー。
 「ブルース・おりくらが買いそうなタイトル」首位の座に君臨するのは、依然として「はにはに」。まあ1票しか増えてないんで端から逆転はあり得ないワケですが。
信じるものはすくわれる。
 そういえば露店の方が騒がしい気がする。
 夏祭り真っ只中の元々騒がしい境内で、ふと、俺はそんなことを思う。
 何とはなしに石段の上から見降ろしてみると、真ん中あたりの露店の前に凄い人だかりがあって‥‥‥どうやらそれは、誰かが喧嘩をしているとか、何かトラブルが起きているとか、そういう風なことが原因の騒ぎ方とは違うように見えた。どちらかというと誰かが何か凄いことをしていて、まわりの反応も拍手喝采みたいな感じだ。
 露店のテントのせいで肝心なところは上からじゃ全然わからない。
 だが正直なところ、一日中、いや昨日も含めれば二日続けて立ちっ放しの歩きっ放しで、身体的には少々キツい。
 まあ、宮司が自ら慌てて駆けつけなきゃいけないような大問題なら誰かが呼びに来るだろうし、そういう事態でもないのに石段を降りてまた昇るのは、できたら回避したいところだった。
「ま、祭りなんだからああいうもんだろ。寂しいよりはいいさ」
 そこで何が起きているのかわからないのが残念な気分もちょっとはあるが、取り敢えず自分の中では結論が出たことにして、俺は境内に向き直る。
 このまま下から誰も俺を呼びに来なければ、宮司になって初めての夏祭りは、多分、どうにか無事に終わっていくだろう。
 ‥‥‥少し気の早い達成感と、それを諌める警戒心を、ほんの少しだけ暗くなりかけた空へ纏めて放り出すように、俺はその場で、大きく大きく背伸びをした。



「宮司さん」
「うわっ」
 ちょうど背伸びを止めたところで、俺は背中をつつかれた。
 慌てて振り向くと、いつの間にか、そこには舞奈が立っている。
「なんだ舞奈か? 脅かすなよ」
「ごめんなさい」
「何かあったのか?」
「宮司さんにお願いがあります」
「お願い? どうしたんだ改まって」
「金魚さんを、飼ってくれませんか?」
「は?」



 舞奈は言った。‥‥‥金魚さんにお願いされた、と。
 あの露店のおじさんは、商売道具の金魚さんを全然大切にしてくれない、このまま一緒に連れて帰られてはもう何日も保たない、だから僕たちをここから連れて行ってください、と。



「つまり舞奈は、見回りしていて金魚掬いの露店のおっちゃんに声をかけられて」
「宮司の兄ちゃんも見てないんだし、細かいこと気にすんな、と言われました」
「そこの水槽に入ってた金魚を、全部掬っちゃった、とそういうコトか?」
「計算が間違っていなければ、二百八十七匹いるそうです」
「ちょっと待て。それじゃ今、下が騒がしかったのは」
「はい。後ろでたくさんの人たちが見ていました。拍手とかも、いっぱいしてもらいました」
 図らずも俺はここで、石段の昇り降りが面倒でつい今しがた諦めた、あの人だかりの真相に触れることになった。
「だけど舞奈、流石にそれはいろいろまずいんじゃないのか? 金魚掬いの人だってそれで商売してるんだろうし、他にも金魚掬いがやりたい人だっていたかも知れないし」
「でも、金魚さんの願いを知ってしまった私には、少しだけ掬うなんて、できませんでした。全部掬うか」
 悲しそうに俯く。
「‥‥‥全部見捨てるか、か。それはいいけど、いくら何でも二百八十七匹を全部飼うのは無理だぞ?」
「そうですか」
 俯いた舞奈の頭をそっと撫でる。
「でも、考えが全然ないってワケでもない」
 ただそのためには、やっぱり宮司の俺が出向いて行かないとダメだろう。‥‥‥やれやれ、結局あの石段を往復するハメになったか。



 自分が渡した普通の和紙一枚で金魚を全部掬われてしまうとは流石に思っていなかったらしい。怒ったり困ったりを通り越してもう笑うしかない感じの金魚掬いのおじさんは、俺の提案に快く同意してくれた。
 金魚を持って帰るための小さなビニールの袋に、掬ったはいいが行き場がなくて再び水槽に戻されていた金魚を三匹くらいずつ小分けにして、まだそこに大勢残っていたギャラリーに配ってまわる。ビニールの袋については神社の方から実費を支払う。本当は金魚の代金も払うつもりだったが、それはおじさんの方が固辞し、その心意気に対してまた歓声と拍手が沸き起こった。
 そして舞奈は、今やちょっとした英雄であった。
 舞奈の配る金魚は子供たちを中心に人気を集め、思っていたよりも早く、ほとんどがギャラリーの手に渡っていった。



「宮司さん、これを」
 最後の三匹が入った袋を、舞奈は俺に差し出した。
「この子たちをお願いします」
「わかった。預かっておこう。だけど」
「‥‥‥だけど?」
「これは舞奈の金魚だ。舞奈が救った金魚だ。だから舞奈が飼うんだ」
 でも。
 言いかける舞奈に、どうにか、俺は笑ってみせる。
「帰ってくるんだろ? 俺がこいつらの面倒を見るのはそれまでだからな」
 言いながら、ちょっと目のあたりに熱いものがこみ上げてきて、誤魔化すように俺は空を見上げた。
 だけど、大きな夕陽の赤が目に染みて、誤魔化すつもりがもっと困ったことになってしまったから、その時舞奈がどんな顔をしていたのかはわからなかった。
 信じた金魚だって、掬われたことだしな。‥‥‥取り敢えず自分の中では結論が出たことにして、舞奈と手を繋いだ俺は、境内へ続く石段を一緒に昇った。

信じるものはすくわれる[26631010][ねがい][舞奈, 宮司]



 タイトルはやまぐうさん
 しかし、実は本命はこの次というか、『「る」で始まるもの』らしいです(^^;;;。ガクガクブルブル。
[2663.10.11.土.]
[2663.10.11.土.] / 4連休2日めYeah! / 3連休初日Yeah! / ルール無用。 / 「The SoulTaker 〜魂狩〜」@KIDS STATION観る。
4連休2日めYeah!
 ‥‥‥止め止め止め(^^;;;。
3連休初日Yeah!
 昨日のアレは休みって言わんだろやっぱし、ちゅーコトで(苦笑)。
 今日は洗濯の日かなー。
ルール無用。
「ああーっ! なんてコトすんのよ!」
「なんでだよ! それじゃ約束と違うじゃないかあっ!」
 言い争う声だけならともかく、今日は何だかがたんどたんと激しい音もする。
「ねえ祐一、あゆちゃんたち、何だか下で暴れてるみたいだよ?」
 言うほど心配でもなさそうな様子の名雪が俺の部屋を覗き込んだ。
「そうみたいだな」
「みたいだな、って祐一、そんな他人ごとみたいに」
「ここで始まらなかっただけマシだ」
「ここ?」
 俺は部屋の床を指差してみせる。
 ああ、と呟いて、名雪がこくんと頷く。
「それは災難だね」
「だからなるべく関わりたくない。心配なら名雪、様子見てきたらどうだ」
「私、ひとりで?」
 そんな時に限ってやたらと不安そうな顔をするから、
「‥‥‥やれやれだな」
 眺めていた雑誌を放り出して、俺は重たい腰を上げる。



「何よこの発育不全のたい焼き依存症女っ!」
「うぐぅ! 何てコト言うんだよっ! それに発育不全はお互いさまでしょ! お肉ばっかり食べてるくせにこの肉まんジャンキー女っ!」
「あうーっ! 言ってはならないことをーっ!」
 派手な取っ組み合いはまだまだ続くようだ。少なくとも、終わりそうな雰囲気はまったくない。
「わ」
 一応、声だけ聞くと驚いてるみたいだが、本当のところはどうなんだか、名雪の態度って奴はいまひとつ読みづらい。
「おいふたりとも、どーした今度は?」
 声をかけてもあゆも真琴も振り向きもしない。自分と相手の声しか耳に入ってないからだろう。多分。
 そうこうしている間にも攻守は目まぐるしく入れ替わっている。でたらめに手や足を振り回しているだけのようにも思えるし、そういうつもりで見ていれば、何だか高度な格闘技戦のようでもある。
「あ、あゆちゃんがマウントとった」
 名雪が呟く。
「マウント?」
「ほら」
 見ると、あゆが真琴のヘソの上あたりに馬乗りになっていた。
「あれがマウント?」
「マウントポジションだよ。あゆちゃんは打撃で真琴ちゃんの顔面を攻撃する絶好の」
「顔面? 顔面っておい」
「真琴ちゃんは早くひっくり返さないと大変だよ」
 ひっくり返さないと大変だよ、ってそんな。
「他人ごとみたいに言ってる場合かよ。それじゃまるでプロレス」
「違うよ祐一。プロレスルールでパンチは反則だよ。どっちかっていうとこれは総合系」
 人差し指を振ってみせながら、名雪はそんな小難しいことを言う。
「え、だってタイガーマスクだっけ、『ルール無用の悪党に正義のパンチをぶちかませ』とか歌ってなかったか?」
 我ながら、つまらないことを知っているなあ、とちょっと思ったが、
「でも、プロレスはパンチは反則だよ。相手がそういう、ルール無用の悪党とかだったら、ちょっとだったら目を瞑ってくれるかも知れないけど」
 名雪の知識も謎といえば謎だった。
「つーか、なんでそんなこと知ってるんだ名雪?」
「私、これでも陸上部の部長さんなんだよ」
 ‥‥‥理由になってんのか、それ?
 げんなりした顔で俺が名雪を見る間にも、
「あ、凶器」
 状況は刻々と変わっているようだ。
 たまたま床に転がっていた新聞紙を掴んだ真琴は、それを丸めて下からあゆの首元をつつき始める。流石にそれは嫌だったのか、あゆは真琴の上から飛び退る。
「何だかもう、ルールとか全然ないね」
 そう言いながら微妙に残念そうな顔をするのは、目の前のコレをどんな競技と勘違いしているんだろう?



「それはそれとして祐一、このままにしておくと、もしかしたらリビングが」
 いや、パンチ反則とか何とかの前に、先にそっちの心配しないか、普通?
「‥‥‥仕方ないか」
 溜め息のひとつくらいは吐きたくなる。
「ほらお前ら、一旦離れろ。水入りだ水入り」
「祐一! ちょっと聞いてよ祐一、このたい焼きが」
「何言ってるんだよ! っていうか祐一くん、これはこっちの肉まんが」
「い・い・か・ら・は・な・れ・ろ」
 再び掴み合いの体勢に入ろうとする両方の首根っこを捕まえて無理矢理引き剥がした。
「で、何の騒ぎだこれは」



「そこで気が済むまでやってろっ」
「うぐぅ! 祐一くん! ひどいよ祐一くん!」
「わっちょっと雪が降ってきた! 祐一ってば! 中に入れてよ!」
 それが実はただのチャンネル争いだったことが判明して、呆れた俺はリビングの窓からふたりを外へ放り出した。
 縋りつこうとするふたりを冷たく振り払って、俺は窓をぴしゃりと閉じる。
「でも祐一、ちょっと気の毒だよ」
「大丈夫だ。大体、チャンネル争いだったんだろ?」
 仲よくふたり並んでばんばんと窓ガラスを叩くあゆと真琴を眺めながら、俺は答えた。
「始まってから一時間ちょっと経ってるし、もうテレビの方が終わってる。しばらく放っときゃ頭も冷えるだろ」
「‥‥‥まあ、そうかも知れないね」
 散らかったりビングを簡単に片づけて、俺と名雪はさっさと二階へ引き上げる。
 そして、リビングには誰もいなくなった。

ルール無用[26631011][Kanon][あゆ, 真琴, 名雪, 祐一]



 引き続き、タイトルはやまぐうさん
 最近ずっと読んでいるせいるさんのアーカイヴに若干インスパイアされすぎている感じはするのですが(^^;;;。
The SoulTaker 〜魂狩〜」@KIDS STATION観る。
 第一話から第三話まで。って、全部で十三話もあるのか、コレ?(^^;;;

 斬新なことをしようとしてるんだなあってのは伝わってくるし、諸々含めてつまらないとかは思わないんだけど、絵づくりというか、構図や画面の色の使い方が全体を通してえらくエキセントリックで、ちょっと観づらい感じはする。
 ‥‥‥まあ、「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」とどっちか片方自腹で買え、とか言われたら、多分ブルース・おりくらは「The SoulTaker 〜魂狩〜」の方を買おうとするだろうけど、でもやっぱり、言う人がよほどの人でなければどっちも買わない、かな(w。
[2663.10.12.日.]
[2663.10.12.日.] / 「仮面ライダー555」観る。 / アクセスカウンタに。 / 最近結構休んでるかなあ?
仮面ライダー555観る
 海堂さん最高。

 カイザ草加さんはウェットティッシュ好き、な理由が判明? 別に手が乾くとかそういう理由ではない模様。
 ともあれ、さらにギスギス感が増してもういい加減末期症状のチーム洗濯屋。草加さんも上手いなあ。そこへいくと久々登場の沢村刑事はイマイチげな印象。本編と並行でこっちの刑事モノ関連エピソードもずっと続いてればよかったのに。

 電飾ファイズvs電飾カイザ。馬ファイズにも結構見慣れてきた感がある。しかし仮面ライダーの中の人がこれだけコロコロ変わるシリーズも珍しいような(^^;;;。しかも主人公はもう仮面ライダーにならなくても戦えちゃうし。結構、今目の当たりにしているこの番組は、画期的な番組なのかも知れない。
アクセスカウンタに。
 「http://www.psyx.niu.ne.jp/silence/afterwords/」にアクセスがあった記録、とかが残っていて驚く。そんなパスでよかったとは知らなかった‥‥‥つーか、何をどこから辿るとそうなるんだろう?(^^;;;

 : と思って調べてみたら、"http://www.psyx.niu.ne.jp/silence/afterwords/"というひと綴りの文字列を本当に含んでるのはコレだけ、みたいだけど。
 : ‥‥‥何ですか「爆JASRAC」って?(^^;;;
 : 僕は無断で載せたことは何度もあるが(爆)「JASRACに転載申請した時の請求書のコピー」自体をネタに使おうと思ったことはなかったから、』って書いたコトならあって、そこにはソレが引っ掛かってるみたい、ではあるけど。
最近結構休んでるかなあ?
 「時代劇専門チャンネル」で「SAMURAI DEEPER KYO」全部、とかいうのを放送していたことに途中で気づき、寝落ちするまで付き合うことに決めたので本日これまで(笑)。
[2663.10.13.月.]
[2663.10.13.月.] / 連休最終日Yeah! / 4/14. / 裏と闇と影。
連休最終日Yeah!
 3連休だろうと4連休だろうと、最終日は結局最終日なのであった(苦笑)。
 なんか外も凄い雨だったり風だったりでえらい勢いだったし、何となくごろごろと過ごす。
4/14.
 比較的地味に進行中。

 こういう方向性もあるよなー、と思う。書き出し部分が全部一緒で中身の違うひと綴りの話って、読んでる方が思ってるほど書くの簡単じゃなさそうな気もするし。ちょっと興味はあったり。
 まあそれはいずれ機会があったらやってみるとしよう。
裏と闇と影。
「なんだ名雪。いつにも増して眠そうだな」
「んー、そんなことないよー」
 俺に言わせれば全然そんなことはなかった。登校中で歩いてる最中だってのにちっとも目が開いてない。
「ちょっと最近、悩んでることがあって」
「それは珍しいな」
「おかげであんまり眠れなくって‥‥‥昨夜なんか、寝ついたの十時くらいだよ」
 ふあ、と欠伸混じりに名雪は話すが、俺が寝ついたのは二時過ぎだ。日に何時間寝れば気が済むんだ一体?
「それで、何をそんなに悩んでるんだ?」
「んー‥‥‥陸上部の、部長さんがねー」
 寝言のような小さい声で名雪が話す。
「陸上部の部長さん、って、名雪のことじゃないのか?」
「そうだけどー、もうそろそろ交替の時期だからー」
 部活をやっていない俺にはよくわからなかったが、確かにまあ、そういう時期もあるだろう。
「で? 部長が交替するのがそんなに問題なのか?」
「んー。私は、加恵ちゃんでいいと思うんだけどー」
「部長がいいならいいんじゃないか? その加恵ちゃんが誰だか知らないけど」
「でもねー‥‥‥裏の部長さんとー、闇の部長さんとー、影の部長さんがー」
「う、裏? 闇? ‥‥‥影?」
 覗いてはいけない陸上部の深淵を覗いてしまったような気がして、俺は慌てて振り返った、けど。
「んー、眠いよお‥‥‥」
 予想もしなかった一言を口にした名雪の方は、相変わらず眠そうに目蓋を擦っているだけだった。

裏と闇と影[26631013][Kanon][名雪, 祐一]



 久し振りにタイトル考えてたらそれだけで疲れてしまいました(苦笑)。
[2663.10.14.火.]
[2663.10.14.火.] / そうだろうとは思ってたけど。 / 5/14のミステイク。 / ゆめはまたゆめ。 / 月蝕。
そうだろうとは思ってたけど。
 昨日の新日@東京ドームは真猪木軍の完勝で幕切れとなった模様。
 むしろ3-0か4-0くらいの圧勝劇になるんじゃないかとさえ思っていたくらいなので、意外だったコトがあるとすればそれは勝ち負けとかそういうレベルの話ではなくて、思ったより減らされたなあ、という点であったりもしつつ。

 これで今度天山がIWGPに挑戦して勝てなかったら本隊は最早面目丸潰れだけど、でも、やっぱり勝てないんじゃないかなあ。‥‥‥つーかむしろ、この際だからぐうの音も出ないほどコテンパンに伸されちゃっといた方が、長い目で見れば後々のためになるような気もしないではない(^^;;;。
5/14のミステイク。
 昨夜、眠れぬ夜の徒然に思わず1stの春まで読了してしまい、インターバルに突入してしばらく経ったところでお眠の時間。
 で、今朝も満員電車の中でインターバルの続きを読み進めてるんだけど‥‥‥それは作品に対する感想とか意見とかそういうことでは全然ないけど、だんだん中身が「直接ぇち」に傾いてく気がするんだよなー(^^;;;。
 名雪と祐一の悲愴な睦言に関することなど読みながら、例えばこれを読んでるPalmの画面を後ろから覗き込んでる人がいたら何を思うのであろう、なんて考えるとちょいと微妙な心境ではある。
 でも読むけど(w。

 : と、ここまで書いて気づいたんだけど、どうも僕は、読む順番を間違ってるみたいだ。
 : え?
 : 1stのインターバルを読んでるつもりで、2ndのインターバルを読んでいたらしい。

 ‥‥‥ああ、なるほどなっとく。理由が判明。
 アーカイヴの方の1stのインターバルに「1st Season」って書かれてなかったから、親リンクの名前を直接ファイル名にすると、ソート順が2ndの前に来ないのか(笑)。だから『先に出てきた「インターバル」』を読んでたんだけど、実はそれはソート順の都合で2ndのインターバルだった、と。
 つまりあの名雪と祐一の悲愴な睦言とかは季節があとひと巡りしてから読む筈だった部分で、所謂「黒名雪」「2ndのあゆ軸における名雪」を指すとすれば、また唐突に黒くなったなあとブルース・おりくらが思ったことの真の原因は、一年分ログをすっ飛ばして読んでいたコトにあったワケだ(^^;;;。
 うーむ、予期せぬタイミングで「刺されそうで恐い」名雪を垣間見てしまった。別にいいけど。

 まあ読み始めちゃったものは仕方ないので、取り敢えずこのまま2ndのインターバルを読んじゃっておいて、それから1stのインターバルへ行くことに決定。2ndのインターバルは都合2回通読する計算になるが別にそんなコトは問題ではなかろう。予習予習。
ゆめはまたゆめ。
 例えば今日の昼休みもそのほとんどを昼寝に注ぎ込んでいて、その時にも確か、某かの夢は見ていたと思うけど‥‥‥何かおもしろいことが起きていたような感覚がぼんやりと残っているだけで、それ以外の大概は目覚めた途端に忘れてしまっている、のが常で。
 そういう風に憶えていることはあまりないので、中身のことじゃなく、憶えていた、ということがちょっと羨ましかった平日の昼下がり。

 それはともかく。7個
月蝕。
 見上げた空の真ん中で、満月はもう欠け始めていた。



 わ、と小さく呟いて、それきり何も言わなくなって。
 多分そのまま、寝転んだ俺のすぐ横で同じように秋草に埋もれたまま、まっすぐに、欠けた月に見入っている。
「双眼鏡とか、持って来ればよかったかな」
 不意に、何か言わなきゃいけないような気がしてきて、言わずもがなのことを俺は言う。
「ううん」
 答えながら、名雪は欠けてゆく月から目を離さない。



 皆既月蝕。
 月の姿が完全に消えてしまった時、いつもの青白い月の代わりに、赤い月がそこに昇るらしい。
「それも受け売りで、自分で見たことはないんだけどな」
 もっと何か言い続けなきゃいけないような気がしてきて、わかりもしないことを俺は言う。
「今日は、そうなる?」
 わかるわけがない。
「皆既月蝕だとは言ってたから、そうなる、と思うけど」
「ん。そんな風に見えるといいね」
 答えながら、名雪は欠けてゆく月から目を離さない。



「名雪」
「ん?」
「‥‥‥寒、くないか?」
 さらに何か言わなきゃいけないような気になるけど、早くも、どうでもいいようなことしか話の種が残っていなくて。
「大丈夫だよ。祐一は、寒い?」
 答えながら、名雪は欠けてゆく月から目を離さない。
「いや、そうじゃないけど」
 そういうことが言いたいんじゃないんだけど。
「今日の祐一は、お喋りさんなんだね」
 答えながら、名雪は、欠けてゆく月から、目を、離さない。



 消えかけた月から名雪を奪い返す作戦は既に、ほとんど全滅に近い惨状で失敗していて。
 いきなり、横に寝転がっている名雪の唇を奪ったり、そんなことをしてみたい衝動に駆られる。
 ‥‥‥駆られるけど、駆られるままに実行したりはできない自分が、微笑ましかったり、悔しかったり、で。
「うーっ、ダメ‥‥‥ごめん祐一、ちょっと、限界だよ」
 欠けてゆく月から目を離さないまま。
 それでも何かをしようとしかけた俺の手を、突然、名雪が握る。
「女の子ってダメかも。こんな風にして月だけ見てると、何だか、すごく不安になっちゃうんだよ」
 やわらかな、あたたかな手のひら。
「でも、月がなくなったり、もしかして赤くなっちゃったりしても、すぐ側に祐一がいてくれる、ってわかるだけで安心できるから」
 作戦はほとんど全滅に近い惨状で失敗しているのに、消えかけた月の魔力を自分で振り切った名雪は、寝転んだ俺のすぐ横へ、勝手に戻ってきてくれている。
 それでは、俺は一体、今まで何を四苦八苦していたんだろう?
 そう思うと自分が情けなくて、苦い笑いが抑えられなくなる。



「‥‥‥笑われたら恥ずかしいよ、祐一」
 笑い続ける俺から目を離して、拗ねたような声で抗議する。
「ごめん。いや、名雪がおかしいんじゃなくて」
 それでも笑いながら、弁明を試みる。
「じゃあ、どうして笑ってるの?」
「‥‥‥男の子なんて、女の子よりもっとダメだな、って思った」
「祐一も男の子なのに?」
「ああ。だから本当、男の子もダメなんだ。こうしてないと」
 俺の手のひらの中にある手を、ぎゅっと、強く強く握る。
「名雪が月に持って行かれたら嫌だとか、そういうこと心配してた。結構、本気で」
 たったそれだけのことを名雪に伝えるために、どれだけの回り道をしてきただろう。
「それは大変だね」
「被害者のくせに何を呑気な」
「だったら、祐一」
 気がつくと、名雪が俺を見つめている。
「ずっと‥‥‥私のこと、ずーっとずーっと、こうやって掴まえててくれなきゃ嫌だよ? そうじゃないと私、本当に被害者になっちゃうかも、だよ?」



 言葉で答える代わりに、片手で握った名雪の手にもう片方の手も添えながら。
「‥‥‥ええと、あー、それについては前向きに善処いたしたい所存」
 少し間を開けて、しかめつらしく俺は答える。
「一秒で了承してくれないんだ。お母さんみたいに」
 くすくすと名雪は笑う。
「了承してもいいんだが、そのためには手だけじゃなくて、いろんなところを掴まえておかないと」
「‥‥‥了承」
 三秒くらいで戻った返事には、
「祐一のえっち」
 舌を出してみせる名雪の、はにかんだような顔が添えられていて。
 ふたり一緒に照れ笑いしながら、さっきよりも近づいて、両方の手のひらを合わせて、指を絡ませ合って。



 広い広いものみの丘の片隅で。
 秋草に埋もれたまま。
 何故だか妙に窮屈な姿勢で両手を繋いだまま。
 ‥‥‥そんな風に、俺たちは。



 改めて見上げた空の真ん中には、見慣れない、赤くて昏い満月があった。

月蝕[26631014][Kanon][名雪, 祐一]



 しまった昨夜「裏と闇と影」じゃなくて「裏と影と闇」にしといた方が後々楽だったかも、とか今日になってから思ったけど後の祭り、とかそういう複雑で難解な内情に関しては永遠に内緒の方向で。

 それと。
 もっともらしい根拠とかそういうのは全然ないですが、たまたま何となくそういう風に気が向いたので、昨日からしばらくの間は名雪強化期間だった(笑)ものとします。‥‥‥なんて言っておいて、明日にはもう違うこと書いてるかも知れませんが(w。
[2663.10.15.水.]
[2663.10.15.水.] / 「では」。 / あ、地震。 / くるみ割り人形の憂鬱。 / 地震の続き。
「では」。
 例によって小夜さん(笑)、が例の如く掲示板に問題発言をお残しあそばされていたのが今朝発覚。
「くるみ割り人形の憂鬱」をリクエスト。

…念のためぐぐったら同タイトルのポエムが出てきたけれど
無関係です。
 ‥‥‥知らんがな(^^;;;。
 つーか同タイトルのポエムも何も、そもそも原典の方をよく知りません。
 しかも名雪強化期間中だったことに昨夜したばっかり、な罠が(爆)。

 ど う す れ ば い い ん だ 。
あ、地震。
 16時30分くらい。
 震度3、だとビル内の放送は言っていたが、むしろ住んでいる浦安の震度が4、の方が職場のコンディションよりよっぽど気になる今日この頃。早く帰りたいなあ。
くるみ割り人形の憂鬱。
 ある日突然、それはダイニングのテーブルの上にあった。
 下顎だけ別パーツになっているらしいことがひと目でわかる、まるで腹話術のパペットのような人形。サンタクロースのような白くて長い髭をたくわえた老人の顔。だが、仮にそれが本当に腹話術のパペットだったとして、必要以上に目を剥いたような、老人というよりは老悪魔を彷彿とさせるその表情で何か喋られても、多分、気持ち悪いとしか思えないだろう。それに後頭部から伸びているレバーも意味不明だ。
 興味がないではないのだが‥‥‥何となく、けたけたと甲高い声で笑いながら、触れようとした指が食い千切られてしまいそうな気がして、だから手も出せないまま、名雪はそれを気味悪そうに眺めているしかなかった。



「あら、どうしたの名雪?」
 別の部屋から出てきた秋子が声をかける。
「お母さん、これ‥‥‥」
 名雪はそれを指差すが、近づきすぎるとその人差し指に噛りつかれそうで恐いからか、妙に腰が引けている。
「それがどうかしたの?」
「これ、何?」
「何って、くるみ割り人形だけど。どこかおかしいかしら?」
 言いながら秋子は首を傾げ、そして、それを手に取ろうとする。
「あっ危ないよお母さん」
 思わず名雪は秋子を止めようとするが、
「どうして?」
 平然と、秋子はそれを素手で取り上げてみせた。
「‥‥‥ほ、本当に大丈夫? 噛んだりしない?」
「だって、これはくるみの殻を割るための道具だもの。噛まれるような使い方をしなければ大丈夫よ。指を挟むためにペンチを使う人はいないでしょう?」
 いかにもおっかなびっくりな様子で、名雪が人形に人差し指を近づけていく。
 と。
 その頬に触れるか触れないかのところで、顎が打ち合わさって、かちん、と鋭い金属的な音をたてた。
「わっ!」
 もちろん、秋子がそういう風にレバーを動かしただけなのだろう。だがそうとわかっていても、名雪は慌てて指を引いてしまう。
 勢いで飛び退いた先に食器棚があって、背中に当たった棚の中身ががしゃがしゃと不平の声を上げた。
「うーん、名雪にはまだ、マリーの役は務まりそうにないかしらね」
 何故だかやけに残念そうに呟いて、秋子はひとつ溜め息を漏らした。
「ねえ祐一さん?」
 かちん。
「な、名前がついてる!? っていうか祐一!?」
 人形の祐一に話しかける秋子の手の上で、誰がどう見ても祐一には似ていない人形の顎が、かちんかちんかちん、と揺れる。
 それは見ようによっては、人形が頷いているようにも見えた。
「:pseobim:s;flbma:weiq!」
 とうとう名雪は、何やら意味のわからないことを叫びながら、二階へと逃げ出してしまった。



「困りましたねえ、祐一さん。名雪があの調子では」
 秋子の手を離れた人形は、
「いつになったら、ネズミの王妃の呪いを解いてもらえるのでしょうね?」
 置かれたダイニングテーブルの上で、かちん、と、顎をひとつ打ち鳴らした。
 それは、見ようによっては‥‥‥人形が頷いている、ようにも見えた。

くるみ割り人形の憂鬱[26631015][Kanon][名雪, 秋子, 祐一]



 つーかちょっと難しすぎです先生!(苦笑) しかもまた「つ」かよ!(^^;;;

 なんせ「くるみ割り人形『の』憂鬱」がお題だったもので‥‥‥原典から察するに、「くるみ割り人形」自身が「憂鬱」を感じるとすれば、その原因は「いつまで経っても人間に戻れないこと」であるのが自然だろうと想像し、そういう方向性で纏めるテスト。
 加えて名雪強化期間なので(^^;;;、配役もそのようにしてみました、と。

 余談ですが、ブルース・おりくらは、普段「!?」とかは使いません。大概そういうのは、テキストを縦書きのフォーマットに流し込むと格好悪いコトになりそうだからです。
 では何故今回は使っているかといえば‥‥‥たまたまこの辺でそういう話題を見かけたので、なんかちょっと使ってみたくなっただけ、だったりとか(笑)。
地震の続き。
 こういう時くらい慌てて帰りたかったのだが全然いつも通り(笑)。
 帰宅した部屋の中もまったくもっていつも通りで安心安心。ふ。
[2663.10.16.木.]
[2663.10.16.木.] / お知らせ。 / 「!?」もしくは「?!」のことについて。 / つきがない。
お知らせ。
 今頃焦ってどうするんだ、という意見はもっともなのですが(^^;;;、ともかくも、今週末に向けて時間を使わないといけない用事があるので、17日から19日までの間、勝手ながらしりとりSS書きを停止させていただきます。
 ‥‥‥もちろん、期間中は「ブルース・おりくらは書きません」というだけの話ですので、留守の間に誰か他の人がどんどん進めていっちゃうのも要求が積まれていくのも全然オーケーですが、そういう事態には多分ならないと思われますので、期間中は止まって見えることでしょう(笑)。

 で、本当は今日、つまり16日の分から止めようと思っていなくもなかったのですが、掲示板にてやまぐうさんの追撃に先手を打たれてしまっているので(笑)、今日は書きます。
このところリクエストしてばかりで気がひけますが一応「つきがない」をリクエストしておきます。
 うーむ‥‥‥さりげない難しさがまたアレですな(^^;;;。
「!?」もしくは「?!」のことについて。
 実は、「テキストを縦書きのフォーマットに流し込む」と書いた行動は、「同人誌を作るためにPageMakerのパブリケーションにテキストデータを割り付ける」ことを指しています。
 ですから、昨日書いたことでは全然言葉が足りなかったと思います。ごめんなさい。

 ‥‥‥その⁈とか⁉については、ひょっとしたらHTMLに埋めこんでブラウザを通すとそう見えるのかも知れませんけれども、それを「PageMakerのパブリケーション上で」、欲を言えばもっと直接的に「テキストデータの段階で」そういう風に(つまり「!?」や「?!」を一文字として)表現できるのでないならば、後々データの取り回しが面倒になるから嫌だなあ、というお話なのでした。

 それを可能にする方法をブルース・おりくらが知らないだけ、という可能性が高いのかも知れませんが、取り敢えず現在時点では、そういった芸は自分にはありません。で、芸がないから使えないので、使わないで済むような文章を書くことの方を心がけてました、というコトですね(^^;;;。

 : 編集機材がワープロ専用機一丁で完結していた頃は素直にそういう外字を作って対応していまして、だから昔は確かに使っていたんですが、思えば、あの頃はそのワープロ専用機から出てくる紙のことだけを気にしていればよかったので、そんな対応で構わなかったのでした。
 : PCに移行して、同じテキストデータを複数の場面で使うようなことも容易になりましたからね。
 : 環境がWindows3.1+PageMaker5.0になったばかりの頃は、それでも結構工夫したりしていたものですけれども‥‥‥最近は、かつて桑田佳祐が「名曲はギター1本で歌える」と語ったような心境に近いものがあるというか。「文章はテキストエディタ1本で書ける」の境地(笑)。
 : まあ、ギター1本で充分だからそうした桑田佳祐と、テキストエディタで書けないことを切り捨てただけの旦那では、志の高さが自ずから違うような気もしないではないですが(^^;;;。

 ちなみに、Windows2000sp3+IE5.0x、Windows2000sp4+IE6.0xでは、それらの代わりにいかにも未定義文字っぽい文字が表示されました。Windows2000sp4+NN4.73だと両方「?」でしたが、ひょっとしてそれが『NN4.73における未定義文字が「?」だから』なのだとしたら、起きていることの中身はIEと同じでしょう。文字コードの問題のような気もします。
つきがない。
「うわ、降ってるな」
「ん。降ってるね」



「ついてないな」
「そうかな? でも、降ってきそうな感じはしてたよ?」
「傘持ってきてない人がそういうこと言っても説得力ないし」
「うー‥‥‥そこを突かれるとちょっと。でも、祐一だって持ってきてないでしょ? 傘」
「だから言ってるだろ」
「え?」
「ついてないな、って。‥‥‥図書館に本を返して戻る間くらい、あのまま降らずに保つ、って信じて疑わなかったからな。今日の場合は」
「祐一がそういう風に信じて疑わないと、雨は降ってこないの?」
「なんだ、知らなかったのか? 実は俺は幾多の伝説を築いた晴れ男なんだ」
「でも降ってるよ?」
「‥‥‥訂正。実は俺は、幾多の伝説を築いた晴れ男だったんだ」
「んー。そしたら、降られちゃった分はイチゴパフェで手を打つよ」
「晴れ男伝説が過去のものになって人が悲しんでいるというのに、なんでこの上、名雪にまで手を打たれなきゃいけないんだ」
「踏んだり蹴ったり?」
「踏まれたり蹴られたり、だろ。むしろ。‥‥‥しかも、今日降られなきゃ夢の三桁勝利だったのに」
「え、そんなことずっと数えてたの?」
「まったく、ついてないな。こんなにも日頃の行いがいい俺なのに、どうしてこういう大事な日に限ってこんなにもツキがないんだ」



「あ。ねえ祐一、ついてないのって」
「ん?」
「新月、とかは関係あるかな?」
「新月? なんで急に新月なんだ?」
「確か今日は新月の日だよ。だから晴れてても、今夜はお月様が見えない日」
「‥‥‥だから月がない、とかいうオチだったら却下な」
「う。‥‥‥やっぱり、却下?」
「駄洒落とは、駄目な洒落」
「うー。ごめんなさい」
「まあ、イチゴパフェ三杯分マイナス、くらいで手を打ってもいいぞ」
「わっ! そっそんなの困るよ祐一っ」
「そんなに慌てるようなことか。大体それでもまだたくさん残ってるだろ? 十杯くらいか?」
「あ、数えようか? んーとね。ひとつ、ふたつ、みっつ‥‥‥」
「って何だそのメモ帳は」
「えーとね、えーと、三杯引いたら、あと二十二杯だよ」
「まさか何気にさっきの追加をちゃっかり足してから三杯引いてるんじゃないだろうな?」
「そっそそそんなことはないですじょ?」
「どっち見て喋ってるんだ名雪。舌噛んでるし」
「うー。バレちゃったよー。残念だよー」
「別にいいけど。俺はもう数えてないからわかんないし。っていうか、パフェの数なんていちいちメモってたのか」
「ずっと前から書いてたよ? このメモ帳も六冊目だし。っていうか、お天気の数を憶えてる方が変だと思うよ?」
「放っとけ」



「それで、何杯だって?」
「だから、二十二杯、だよ。もちろん、全部百花屋さんでね」
「何がそんなにいいんだ? イチゴパフェなんてどこでも同じだろ?」
「とってもおいしい。器が大きくていっぱい入ってる。イチゴがいっぱいついてる。バニラのウェハースもついてる」
「イチゴのパフェなんだから、ウェハースはなくても別にいいんじゃないのか?」
「そんな‥‥‥パフェについてるウェハースの重要さがわからないなんて‥‥‥もう、それだけで人生のしあわせの半分くらい損してるよ、祐一」
「そんなに重要か?」
「ウェハースがついてないなんて、そんなの、その場で五十点減点。期末試験なら赤点決定」
「じゃイチゴがついてないのは?」
「そんなのイチゴパフェじゃないもん。落第」
「‥‥‥そうだな」
「他にもいっぱいいっぱいあるけど、とにかく私は、百花屋さんのイチゴパフェがいいんだよ。でもね、いっぺんに返ってきちゃうともったいないから、時間をかけて、ゆっくり味わって。これはそういう風に返して欲しいな、って」
「ふむ。それで、ひとつ質問だが」
「何?」
「俺には何が返ってくるんだ?」
「紅しょうが」
「一秒かよ。しかも紅しょうがだけかよ」
「ああ、ウェハースも要るよね、もちろん?」
「要りません。念を押すな念を。大体なんで紅しょうがにウェハースだ」
「じゃあ、お母さんのジャムとウェハースでもいいよ? ん、お好きなものをお好きなだけ、お好みの組み合わせで。よりどりみどり。わー」
「わーとか言うな。しかも真顔で当たり前みたいに言うな」
「それで祐一、どっちがいい?」
「丁重にお断りいたします」
「残念」
「心底残念そうだな」
「もちろんだよ」
「なんてこった」



「‥‥‥まだ、降ってるな」
「‥‥‥ん。まだ、降ってるね」

つきがない[26631016][Kanon][名雪, 祐一]



 また「い」かよ!(^^;;;

 さておき。前述通り、タイトルはやまぐうさん
 もう何というか、何をやってもありきたりになりそうだったので、開き直って突っ込めるだけ突っ込んでみました、と(笑)。‥‥‥でもやっぱり、ちょっとタイトルに負けてる感じがするんだよなあ(^^;;;。
[2663.10.17.金.]
[2663.10.17.金.] / 1回休み。 / ‥‥‥(^^;;;
1回休み。
 寝る以外のことはほぼしていない日。
‥‥‥(^^;;;
 先月15日のSSなんだけど、2カ所ばかり「浩之」と「祐一」を間違えていたことがメールで指摘されて赤面の至り。To Heartなのに何故祐一。
 どこのどなたか全然存じませんが、早速修正させていただきました。ありがとうございました。

 何度も読み返したのに今の今まで全然気づいてなかったのがショック(苦笑)。そういうの、書いてる本人にはわかんないもんなんだなあ‥‥‥。
[2663.10.18.土.]
[2663.10.18.土.] / 12/14.
12/14.
 2nd Seasonまで読了。
 取り敢えず、「黒名雪」のことについてだけ感想を。‥‥‥ブルース・おりくらの見たところ、あの名雪は、「祐一を刺しそう」というよりは「祐一に刺されてくれそう」の方により近いんじゃないかな、と思ったのでした。だから読みながら、「刺されそうで恐い」、とは実は感じていません。

 むしろここまでよりも、この後名雪はどうするのか、の方に興味があります。例えば、その後のインターバルにちょっといたのを先に覗いちゃいましたが「名雪と祐一の悲愴な睦言」と書いたようなこととか。人として生きていくのであるならばいずれその辺壊れっ放しではいられないというか、壊れたまま生きていくのはちょっと難しいのでしょうが‥‥‥では誰であれば、もしくは何であれば、あの名雪、の側に居られるのだろうと。居てあげる、のでも、無理矢理居させる、のでもなく。
 考えているのはそんなことです。

 ああそうそう。あゆ話なのにあゆより好き、という感想が非道いとも思いませんでしたよでしたよ?(笑)
 一概に「あゆ話」とは言ってしまえないくらい、あれは「名雪話」でもあったと思いますゆえ、それもある種の「順当な評価」と考えてよいのではないかな、と。多分そんなの、せいるさんは承知で仰ってるんだろうとは思うんですけれども(^^;;;。
[2663.10.19.日.]
[2663.10.19.日.] / saoriさんメール。 / 『ブルース・おりくらは他からどんな風に思われてるか』正解発表。 / 「仮面ライダー555」観る。
saoriさんメール。
 Wayneさんが受け取ったらしきメールと似たようなの、というか多分内容自体は同じの、がブルース・おりくらの手元にも。差出人は確かに知人でした。タイトルは「阪神日本一    biedfqe」になっていて、HTML添付が添付されていて、それ以外の本文なし。つーか「biedfqe」は何?
 HTMLもちらっと見ましたが、なんかソフトのタイトルと価格みたいなのが胡散臭く羅列されてました。むー。
ブルース・おりくらは他からどんな風に思われてるか』正解発表。
 取り敢えず、正解をいきなり。「CROSS†CHANNEL」でした。

 うろ覚えですが、当日(10月7日、閉店近くの有楽町ソフマップにて)見かけたソフトと見かけなかったソフトを列挙しておきます。
 これが本当に全部9月26日発売だったかどうかは自信ないですけど(^^;;;。

あった:
CROSS†CHANNEL FlyingShine
タナトスの恋 〜淫姉弟相姦〜【DVD-ROM】 Red Label
D.C.〜ダ・カーポ〜 期間限定感謝ぱっく【CD-ROM版】 サーカス
D.C.〜ダ・カーポ〜 期間限定感謝ぱっく【DVD-ROM版】 サーカス
凌辱家庭狂師 Serene
SeeIn青 -シーンAO- 【廉価版】 ALICE SOFT
えふあんどしいファンディスク in 2003年夏祭り F&C
揉みくちゃ 〜獣が潜むラッシュアワー〜 ZERO
雨檻の人形姫【CD-ROM版】 OPTiM
雨檻の人形姫【DVD-ROM版】 OPTiM
ママトト 〜a record of war〜【廉価版】 ALICE SOFT
Ricotte〜アルペンプルの歌姫〜【初回版】 RUNE
天使のいない12月【限定版・CD-ROM版】 Leaf
天使のいない12月【DVD-ROM版】 Leaf
我家に魔女がやって来た! たっちー
なかった:
メルティ・メルヘン ぱんだはうす
よい娘の悩み相談室-妄想世界の背徳的指導- COLLECTION
タナトスの恋 〜淫姉弟相姦〜【CD-ROM】 Red Label
どきどきビーチ!〜胸騒ぎの予感〜 あいあい
めぐり、ひとひら。【初回限定版】 キャラメルBOX
PRINCESS BRIDE 【DVD-ROM版】 130cm
奴令嬢 廉価版 Cadath
MODE〜モード〜 ERROR
つ・ぼ・み 〜美少女、愛玩日記 いたいけ、マイ・べいび〜 ScooP
ふたりじめ -幼なじみと夏と義妹- マリン
しあわせのかたち 【CD-ROM版】 Angel Smile
えろこん 〜Erotic Controler〜 ZERO
ハートフル・デイズ 陽のあたる場所へ【限定版】 ヒロインメーカー
罪囚 -The SIn- Tactics
re-laive 【再販版】 KLEIN
PRINCESS BRIDE 【CD-ROM版】 130cm
Ricotte〜アルペンプルの歌姫〜【通常版】 RUNE
Natural Another One【限定版】 F&C・FC03
アプリコット邸物語 〜笑顔を忘れた仔猫〜【パッケージ版】 LILITH
月は東に日は西に〜Operation Sanctuary〜【限定版】 オーガスト
犬っ娘ぷにぷに 〜発情警報発令中〜 Cronus
 今にして思えば、発売から1週間以上経過した、しかも有楽町ソフマップ、というロケーションからして罠で。
 残念ながら、「月は東に日は西に」も「メルティ・メルヘン」も店頭在庫がなかった(爆)のであり、店頭にあったものから選んだワケですから‥‥‥

投票内容:
    有効投票数:4 / 投票総数:4

  1. 月は東に日は西に」:3
    木村小夜, 酔狂先生, 朝館
    木村小夜 : 次点は「Theガッツ!5」(笑)。個人的には「あゆみちゃんLABO」。
    酔狂先生 : とりあえず、第一感での本命は「月は東に日は西に」ですか。空からヒロインが降ってくる辺りが。ちなみに対抗はCross Channelです

  2. メルティ・メルヘン」:1

     : 本命メルティメルヘン、対抗罪囚、大穴月東日西。つうか、26発売のエロゲーを把握しきれん。うえに、好みだけで買わない傾向があるから読めねー。
結果:
応募者全員ハズレ。
対抗に「CROSS†CHANNEL」を挙げた酔狂先生に残念賞。
 今回の結果はこんなところ、でしょうか。‥‥‥ちなみに予告の通り、賞品はありません(w。>残念賞とか

 ついでに、この件絡みのレスを纏めて。
 べっかんこうさんに関してはもちろん憶えていましたが、「はにはに」に関する予備知識がまったくなかったので、この時点でソレとコレは全然リンクしていない状態だったのでした。‥‥‥べっかんこうさんが原画を描かれているという点も然ることながら、「空からヒロインが降ってくる」とかそういう予備知識がもしもその時点のブルース・おりくらに一通りあったならば、「はにはに」は指名買いしていた可能性があります。
 それと「メルティ・メルヘン」ですが‥‥‥流石に付き合いの長さが群を抜いているだけあって、その後にちらっと調べた中ではいちばん「ブルース・おりくらが買いそう」な内容のソフトだとブルース・おりくらも思っております(笑)。コレはその時売ってれば間違いなく買ってたでしょうねー。もちろん、買いに行く前に中身を知っていれば指名買い候補でした。

 例えばそこに「メルティ・メルヘン」や「はにはに」もあったとしたら、「CROSS†CHANNEL」を含めた中からどれをチョイスしたか、は微妙です。
 あの段階ではすべてについて中身を知らなかったワケですから、べっかんこうさんが原画、という点を見落とす可能性は高かったであろうことを思うと「はにはに」は若干アピールが弱いかも知れない、とも思えますが‥‥‥や、みんな買っちゃったかも知れませんね(^^;;;。
仮面ライダー555観る
 話のなりゆきというか何というか、なんとデルタがたっくん。相手はサボテンかと思ったらフジツボ。‥‥‥フジツボ、て(^^;;;。
 しかもなんか、馬オルフェノクの変身ポーズが控えめじゃなくなってる。オルフェノク由来の人はもっとこっそり変身するものなのに(笑)。しかも、馬なのにアクセルフォームの使い方を知っているかと思いきや、実はにはアクセルフォームに追随できるスピードが。あらあら。

 そして明かされる、真理たんの記憶の真実。流星塾の同窓会を襲ったのは実は竜。狼たっくんは何故か(^^;;;助けに入っただけだった模様。
 そんなこっちゃないかとは思ってたけど、竜かー。薔薇だと思ってたんだけどなー。

 来週はブラスターフォーム登場。どーせまた、どーしてそこに出てくるのかわからないような謎な登場をするんであろう(^^;;;。
 今のところ、龍騎サバイブが出てきた時みたいな燃える演出はなさそうかなー。
[2663.10.20.月.]
[2663.10.20.月.] / しまった。 / and we say, OOH! / 茨姫。
しまった。
 昨日、自分の日記に自分でリンクを貼った時に、相対パスに書き換えるのを忘れた部分があったことに気づいた、のが今朝(苦笑)。
 ‥‥‥日記を書いてる環境の上では相対だろうが絶対だろうがリンクは繋がっちゃうワケだから、書いてる時にはよくわかんない、といえばよくわかんないんだよな、確かに。

 ああ、アップロード用ファイルを作る秀丸マクロの中に、ローカルサーバで絶対パスのルートになる文字列を全部相対パスに置き換えちゃう処理のセットも組み込んでおけばいいのかな。そうすれば、いちいち手作業で相対パスに書き換える手間もなくなるワケだし。うむ。

 : こんな風にして何かの度にひょいひょい書き足してたら、新しいマクロもまた随分巨大になっちゃったしなあ。
 : 作り直したばかりの頃はもう少しシンプルだったんですけどね。
 : 別に汎用的な仕組みとか考えなくていいというか、動けばおっけ、ってレベルのものだから、そんなんだっていいっちゃいいんだけど。

 次にこの日記のフォーマットを弄るとかそういう時期が来たら、また使い回すとか考えないで、もう一回作り直した方がいい気はする。
and we say, OOH!
 特に思い当たる節とかはない筈なのでブルース・おりくら自身にも理由が全然まったくわからないんだが、何だか無性にB'zの「THE GAMBLER」を大声で歌いたくてしょうがない気分になってしまったような気がするお昼前。

 ‥‥‥つーか、何なんだ一体?(^^;;;
茨姫。
 もうすっかり白く覆われてしまった道の上から、まだ雪が降り止まない空を見上げる。
「流石に今日はちょっと寒いね、祐一」
「ああ」
「祐一?」
「ああ」
 すぐ側で白い息を吐きながら、祐一は気の抜けたような返事を返し続ける。
「もう。祐一、ああばっかり」
「ああ」
 咎めるように言うが、祐一はいつもこうだ、とわかってもいる。ほんの小さく、溜め息。
 制服のケープの裾をふわりとはためかせて、振り向いて‥‥‥行儀悪くポケットに両手を突っ込んだまま、ほんの少し後ろを歩いていた祐一が、何故かその時、恐らくは自分を見つめていたのであろう視線を慌ててどこかへ外した、ことに気づく。
「ねえ。今、何見てた?」
「ああ」
「ああじゃなくて。‥‥‥しましま?」
「いや白の」
 つい何となくそこまで言いかけて、しまった、という顔をする。
「白の?」
「いや、っていうか、お前がいきなりそこで回るからだな、その、見たかったからとかそういう、あー、つまり」
 開き直ってみせるが、
「祐一のえっち」
 こういうことは、女の子には敵わないことになっているようで。
「‥‥‥祐一だけだよ」
 項垂れた祐一の頭の前に、微笑みながら、そっと右手を差し出す。



 真っ白いベッドの上を漂う右手を、一同は、一様に沈痛な面持ちで見つめていた。
 まるで時折身じろぎする祐一の身体を追いかけるように、その指先はゆらゆらと頼りなく揺れていた。
「あの、俺」
「何も言わないでください」
 秋子はずっと俯いたまま、呟きかけた祐一の言葉を遮るように、疲れた声で呟いた。
 かちかちと奥歯を噛み鳴らしながら、あゆはさっきから、入り口の近くにしゃがみ込んで頭を抱えていた。
 瞬きもできないほど大きく見開かれたままの目蓋から、落ちた涙が床に弾けた音の方がまだ大きい、くらいの小さな声で、譫言のように何かを言いながら。



「恥ずかしがらなくてもいいのに。私たち、つきあってるんでしょ?」
「つきあってるけど、でも恥ずかしいだろ普通? 学校の近くだし、まだ日も高いし。雪降ってるからわからんが」
「私のぱんつ見たくせに」
「だからそれは不可抗力でだな」
「でも嬉しかったでしょ?」
「‥‥‥はい、その通りでした」
 そこまで言って。
「ああまったく」
 不意に加速した祐一が、かっさらうようにその手を取って。
 そのまま、掴んだ手を引っ張って、早足でどんどん歩いていく。
「わっ。ちょっと、速いよ祐一」
「陸上部の部長さんがこのくらいで驚いてどうする」
「あんまり慌てると転んじゃうよー、って」



 ごとん。‥‥‥不意に、ベッドの上から、身体が落ちた。
 こんな状態でも、本能は身体を動かそうとするのだろうか。ばたつく両手は近くにあったものを掴もうとしたようだが、実際に何かを掴めたのは、墜落する軌道のどこかで祐一のジーンズに触れた左手だけだった。
 力が掛かったのが拙かったのか、手首の包帯にじわりと赤い染みが広がった。
「‥‥‥っ!」
 折り重なるように祐一は倒れ込んだ。
 秋子はまだそこに立ち尽くしたままだった。
 だから、その音に弾かれたように病室を飛び出していったあゆのことは‥‥‥止めることも、追いかけることも、誰もにできなかった。



 半分雪に埋まったようになったところへ、さらに折り重なるように祐一が倒れている。
「だから転んじゃうって言ったのに」
「すまん」
「本当にもう」
 慌てて身体を起こそうとした祐一の、まだ繋いだままだった手を、下から引っ張る。
「こら手を離せ。起きられないだろ」
「いいよ」
「いいよ、って」
 強く引っ張られたせいでほとんど密着してしまった祐一の背中へ、ぎゅっと抱きついた腕が回る。
「いいの。‥‥‥雪が降ってるから、きっと、見つからないよ」
「そうか」
 雪のベッドに沈む唇を、祐一の唇が追いかける。



 病的に白い床の上に背中を浮かせるようにして、意外なほどの力でしがみついて。
 半分のしかかったような姿勢のまま凍りついたように動けない祐一の唇を、追いかけて、奪った。
「祐一さん。ベッドに戻しますから」
「でもちょっと、離れなくて」
「祐一さんっ!」
 苛立ったように秋子は叫んで、
「ご‥‥‥っ‥‥‥ごめんなさい‥‥‥ごめんなさい祐一さん」
 その一瞬後、叫んでしまったことを悔いるように、秋子はさらに表情を曇らせた。
「いえ‥‥‥俺も、っていうか、俺があゆと」
「そのことは言わないでください。誰のせいとか、そういうことではないですから」
 自分に言い聞かせるように、ことさら、言葉は繰り返された。
「誰のせいとか、そういうことでは、ないんですから」



 あゆちゃんだって、七年経って、祐一と結ばれたんだから。
 きっと、七年経って目を覚ましたら、私の側にも祐一がいてくれるんだよ。
 だから。
 おやすみなさい。



 夢の中に降る雪はどんどん勢いを増していった。
 ふたりだけの世界は白いヴェールで現実から切り離され、やがては彼岸へと持ち去られようとしていた。
 現実のあゆも、秋子も、祐一でさえも、夢の城壁を覆い尽くすような茨に搦め取られて、その心までは到底辿り着けそうにない。
 奇しくも、もう十年近くも前にはあゆがそうだったように。
 それからずっと、笑みすら浮かべてすやすやと眠ったまま、目を覚ます気配すらなく。
 ‥‥‥残された書き置きの通りなら七年に及ぶ筈の眠りに落ちた茨姫が、しあわせすぎる白い闇に閉じ篭ってから、まだ、一週間と経ってはいなかった。

茨姫[26631020][Kanon][名雪, あゆ, 秋子, 祐一]



 黒名雪バッドエンド1。
[2663.10.21.火.]
[2663.10.21.火.] / ‥‥‥うわーん。 / 15/14 and more. / 「DRAG-ON DRAGOON」(PS2)再開。 / 6以降。 / 迷路。
‥‥‥うわーん。
 来ないに違いないと信じて疑わなかった無敵のじゃんけんお姉さん@杜の奇跡4は予想外なことに降臨。後悔。しかもその上あまつさえ、どうやらCFさんが遂にあの死を呼んで舞う美しい化け物 ドラまた 無敵のじゃんけんお姉さんから一勝を挙げたようで、戦利品を引っ提げて凱旋、との由。
 おめでとう。おめでとう。おめでとう。おめ(以下延々)

 死ヌほど悔しいのでもう二度と仙台には行きませんええ行きませんよ行きませんとも。

 : 本当ですか?
 : ほんとうですかー?
 : つーかチミたち、何だねその疑いの眼差しは?(^^;;;
15/14 and more.
 ちなみに、アーカイヴのない「3rd Season 冬」はこちらから直接PiloWeb Ver2.11で切り出し、まだSeasonの綴りに纏まっていないものもこちらの【最近三日間に Upload されたお話】部分から切り出しで、結局全部、手元のPalmOSハンドヘルド(CLIE PEG-T400)で読了。

 てなワケで、ようやく現在地点に追いついたぞ、と。
「DRAG-ON DRAGOON」(PS2)再開。
 同時に、状況の停滞具合も再開(苦笑)。
 何というかこう、全体的には面倒なゲームで、感想もイマイチ。

 で、ここにそのイマイチっぷりを書き連ねてみたんだけど、読んでてつまらないので削除。
6以降
  1. 眼帯で隠した側には眉毛もまつげも全然ない
  2. 眼帯で隠した側の瞳孔の形が猫と一緒
  3. 眼帯で隠した側の目の周囲にパンダのような隈がある
  4. 眼帯で隠した側でだけ、見えてはならないものが見えてしまう
 ‥‥‥とかでしょうか。
 考えようとすると意外と思いつかないな、こういうの。
迷路。
 相沢、お前も有志で何かやってくれよ。何でもいいからさ。
 ただし、お化け屋敷と飲食店以外な。



「‥‥‥今度の文化祭で?」
 名雪は不思議そうに訊き返す。
「そういう風に、さっき久保田に言い渡された」
 祐一は腕を組んで、何やら考え込む仕種。
「久保田先生から? どうして?」
「実行委員会の顧問だからだろ。部活とかやってなくて暇そうに見える生徒に、端から声かけてるだけじゃないか?」
「そんな大雑把な」
「ちなみに、優秀賞なんてことになったら関係者にはいろいろと取り計らってやらないこともない、とも言い渡された」
 途端に名雪の表情が曇る。
「ねえ、もしかして祐一‥‥‥何かそういう、心配されるようなことをしたの? ほら、久保田先生って進路指導もしてるし」
 祐一はふっと笑って、向かいの席に手を伸ばし、名雪の頭を軽く撫でる。
「不安そうな顔して何を言い出すかと思えば。失礼な奴だ」
「うー。大丈夫ならいいんだけど」
「そんな変な心配しなくていい。大丈夫だ、ちゃんと来年は一緒に、同じ大学に行ける」
「‥‥‥ん。頑張ろうね、一緒に」



「じゃあ、これからテストの度に相沢くんに手を貸すだなんて、そんな失礼なコトはもうしなくていいワケね。あたしも」
 その声は、前触れも何もなしに、いきなり祐一の真後ろから発せられた。
「わっ」
「うわ香里か‥‥‥って、いつからそこにっ」
「そうね。『いろいろと取り計らってやらないこともない』のあたりから、かしら」
「‥‥‥地獄耳」
「‥‥‥何か言った?」
「いいえ何でもありません」
 まったくもう、とか呟きながら。
 僅か数秒前までは教室内において支配的だったらぶらぶムードなどまるで意に介さず、祐一の横の机をずらして椅子を寄せ、当たり前のように香里はそこに腰かける。
「でも私も全然気づかなかったよ、香里」
 言われて香里は苦笑を漏らした。‥‥‥背中を向けていた祐一はともかく、その祐一と向き合って座っていた名雪の視界には、入っていてもよさそうなものだったが。
「それで相沢くん、何かアイデアはあるの?」
「こういう話に香里が興味を持つなんて、ちょっと意外、かも」
 祐一が答えるより先に名雪が口を挟む。
「取り立てて忙しいワケでもないし、稼げるものは稼いでおこうと思って。だから、何だかわからないけど、取り敢えず一口乗らせてもらうわ」
 香里もしれっと言ってのける。
「何だかわからないのに乗っちゃダメだと思うよ」
「ダメだったらまた考え直せば済むじゃない。で?」
 さらにその上、こともなげに先を促す。
「ん、まあ考えがないこともない。そうだな、一長一短あるんだけど、体育館のフロア全部を使って一回だけか、屋上を使って一回だけやる、ってのがベストかな」
「観客席は? 体育館のフロアには、パイプ椅子がいっぱい並んでいる筈だけど」
「要らない」
「要らない、って‥‥‥それはタイミングが難しいわね。というか、ほとんど不可能だと思うわ」
「まあダメだろうから、そうなると屋上かな」
「屋上も多分借りられるでしょうけど、でも今度は天気に影響されるわね」
「だから本当は体育館がいいんだけど。雨が降ったら傘さしてやってもらうしかないかな」



 突然。
「っていうか、ふたりともっ!」
 ばん、と名雪が机を叩く。
「どうした?」
「何かしら?」
「祐一が何をしたいか、まだ何も言ってもらってないと思うよ? どうしてそれでそんな先の話ができるの? 私、全然わかんないよ」
「‥‥‥なるほど」
「‥‥‥それもそうね」
 祐一と香里は顔を見合わせて呑気に呟き、
「うー」
 見ている名雪の機嫌はますます悪くなった。
「先に言っておくけど、相沢くんが何を企んでるかなんて、あたしだって全然知らないわよ?」
「だって」
「知らなくても喋れる話しかしてないじゃない」
 今度は香里が名雪の頭を撫でる。
「だからそんなに妬かないの。ね?」
 誰がどこからどう見ても非の打ちどころのない、完璧な子供扱いであった。
「うー‥‥‥いいけど、別に」
 全然よくなさそうにぼそっと言って、机に頬杖を突いた名雪はぷいと視線を窓の外へやってしまう。
 放課後。穏やかな秋晴れの空は、そろそろ暮れる準備でもしている頃だろうか。



 しばらくそのまま、静かな時を過ごしてから。
「さて。名雪も知りたいみたいだし、そろそろ教えてもらえないかしら、相沢くん?」
 おもむろに香里が切り出す。
「知りたくないもん」
「それはさて置き」
「置いちゃダメっ」
「で?」
 そっぽを向いたままの名雪が頬を膨らませたが、そっぽを向いたままだったから、誰にも気づいてもらえなかった。
「企んでるとは人聞きの悪い。‥‥‥立体迷路なんだけど」
「迷路? ああ、お客さんには直接中を歩いてもらうのね」
「適当にベニヤか何かを立てて並べるだけで済むから、そんなに難しくないしな」
「屋上だと、ベニヤの上げ降ろしが一苦労」
 言いかけて、香里はふと首を傾げた。
「さっきも思ったんだけど、どこか適当な空き教室でもいいんじゃないの?」
「狭い。それと」
「それと?」
「実はもうひとつネタがあるんだが、それも考えると無駄に広い方がやりやすい。常設展にもしたくない」
「それはさっきから言ってたわね。一回だけ、ってどういうことかしら?」
「要するに‥‥‥」
 祐一は手帳を出して、空白のページにシャーペンで何やらごそごそ書き始める。



 名雪はそれでもそっぽを向いたまま、それはちょっと陰険だよ祐一、と感想を述べた。
 香里は肩を竦めながらも、でもおもしろそうじゃない斬新だし、と感想を述べた。



 かくて幕は上がり。
 二日続きの晴天も手伝ってか、文化祭全会期の中で四回しか口を開けない屋上の巨大迷路は盛況だった。‥‥‥ちなみに、一回しかやらないことに祐一は最後までこだわっていたが、実行委員会や久保田教諭に押し切られる形で、入場者は一日二回ずつ募集することになってしまったのだ。会期は二日間だから、都合四回、という計算なのだった。
「まあ、何度もやりたくないって気持ちもわかるけどね。最初の一回しか驚けないでしょうし」
 名雪とふたりで屋上の踊り場から入場者を迷路へ誘導しながら、香里は呟く。
 目の前の列は二日目の午前の回に入場する列。彼らにしてみれば、三度目のお客さんだ。
「そうだね。仕掛けがわかっちゃったら、みんな『なーんだ』って言うと思う」
「でも確かに‥‥‥ええ、だから体育館よりは屋上の方がいい面もあるわ。屋上と体育館は一長一短っていうのは、多分そのことを言っていたのね」
「え、どんな?」
「体育館のフロアには二階通路があるじゃない。上から覗かれたらすぐにわかっちゃうもの、こんな仕掛け」
「あ。‥‥‥なるほど、それは気づかなかったよ。屋上に二階はないよね」
 得心が行ったように、名雪はぽんと手を合わせた。‥‥‥そう。祐一たちの作った迷路には隠された秘密があり、そしてその秘密は、迷路自体を俯瞰で見ればすぐにわかってしまうような簡単なものだった。
 さておき。
 『入り口』と書かれた布をプラカードに引っ掛けただけの簡単な看板の前で整理券を回収していた祐一と北川のところへ、名雪たちが到着した。
「終わりかー?」
「ええ。大体こんなものでしょう」
「それじゃこれは、今日の午後用の整理券。また本部とか適当なとこで配ってもらって。次が最後だからもう回収はしない」
 集め終わったばかりの整理券の束は、そのまま祐一から名雪に引き渡される。
「うん。手配しておくよ。それで、そのまま一旦、陸上部の焼きそば屋さんに戻るね。午後の回の頃にまた来るよ」
「そうしてくれ。‥‥‥悪かったな、陸上部もあるのに手伝わせて」
「ううん、大丈夫だよ。ここの展示は全然手がかかってないから」
 名雪はくるりと背を向けて、
「運営に必要な労力の小ささを考えると、流石は相沢くんのアイデア、って感じよね」
 微妙な台詞を後に残して香里もそれに続いた。
「北川は、今入ってるお客さんが全員出たら、迷路のレイアウト変え。それも次で最後な」
「ああ。わかってる」
「じゃ、そういう感じで」
 一通りの手筈を整えると、祐一は看板を覆う布に手をかけた。
 ばさり、と音がして、プラカードの地が剥き出しになる。



 『出口 ご来場ありがとうございました』
 プラカードにはそう書かれていた。

迷路[26631021][Kanon][名雪, 香里, 北川, 祐一]



 確か、ウルトラクイズの罰ゲーム、にこういうのがあったような憶えが。
 今回のはそれの縮小版というかそんな感じで。
[2663.10.22.水.]
[2663.10.22.水.] / 想像の範囲外。 / 505iS. / ロンドン橋落ちた。
想像の範囲外。
 掲示板から抜粋。人名は敬称略で。
「ロンドン橋落ちた」をリクエストします。
#「ロリコン」をリクエストしたらあらゆる意味で終わるなあと思った^^;。
[2003/10/21 22:30:27 / やまぐう]

「ロリータ」をリクエストしようとしたのに一歩遅かった(笑)
[2003/10/21 23:47:17 / 木村小夜]
 えー、予めご承知のこととは存じますが、取り敢えず「ロリコン」については、それ以外のあらゆる意味に先立ってしりとり的に芳しくない点を鑑み(笑)、申しわけありませんが以後も永続的に却下とさせていただきます。
 で、そこは差し引きつつ、先着の「ロンドン橋落ちた」を今回のタイトルとして採用。本日対応予定。
 「ロリータ」に関しましては、次回「ろ」に回ったら採用、という線で如何でしょうか。

 ‥‥‥つーか待てチミたち。「ロリコン」に「ロリータ」て一体。
505iS.
 もう明日には先陣を切ってD505iSが発売されてくるとか。この間505iが出揃ったばっかりなのにとか思ったけど、調べてみたらそれって5月とかくらいのトピックだったのか。それにしたって半年しか経ってないが。‥‥‥いや、実はせっかくSH252iに機種変更しようと半分心に決めかかっていた今日この頃だったのに、これでまた、もう少し様子見にしようかな、という気に(^^;;;。

 こちらも順当に選べば多分SH505iSが正解なんだろうなあと思いはするものの、SO505iSがシリコンオーディオ機能を載せてくる、という噂がちらっと耳に入ったりもしていて、もしそれが本当だったならSO505iSへの乗り換えもあり得る。その上MP3再生が可能だったりした日にはかなりクラクラしそう。
ロンドン橋落ちた。
「えーっとね。橋の人がふたりと、子供がいっぱいいてね、橋の人はこうやってて」
 真琴は名雪の正面に立ち、両手を掴んで持ち上げる。
「それで、みんなで歌いながら、子供がいっぱい、手の下を通るの。ローンドン橋落ちたー落ちたー落ちたー」
 大学受験を控えた祐一と名雪はちょっと微妙な顔をするが、もちろんそんな細かいことを真琴が気に留める筈もない。
「ローンドン橋落ちたーさあどうしよー、で」
 名雪の手を掴んだままだった真琴の腕が勢いよく振り下ろされた。不意を突かれて少し驚いたのか、わっ、と名雪が声を漏らした。
「この時に、この手の中のところにいた人が負け、っていうの」
「負け? ‥‥‥ちょっと待て。ロンドン橋って、勝ったとか負けたとかの話だっけ?」
 横で見ていた祐一が口を挟む。
「え、橋が落ちるだけでしょ?」
 言いながら、名雪は少し首を傾げる仕種。
「あれ? ロンドン橋って、そういえば、どうして落ちるのかな?」
「真琴、その歌って続きとかないのか? その前とか」
「お遊戯でやった時は、習ったのはそこだけだったよ‥‥‥続きとか、あるの?」
 当たり前のような顔をして、真琴はそう訊き返してくる。
 幼稚園では先生役をしている筈の真琴だが、結局一緒に『習って』いるあたり、『ちょっとだけ年長の園児』と表現する方がずっと実情に近い。よくも悪くも、それも真琴の真琴たる所以ではあるだろう。
「橋が落ちるんでしょ? んー、橋のこっちと向こうで、戦争でもしてるのかな」
 名雪はまだ考え込んでいた。ぶつぶつと呟く。
「名雪と真琴が、か?」
「そうそう私と真琴ちゃんが‥‥‥って、え? なんで?」
「そりゃ、橋の向こうが真琴なんだから」
 向かって右側の真琴を差した祐一の指先が、
「こっち側は名雪だろ、今?」
 それを追いかけて動く三人分の視線を連れて、すーっと空中にアーチを描き、左側の名雪に辿り着く。
「あう‥‥‥でも、名雪と戦争はちょっと嫌だな。祐一だったらいいけど」
 上目遣いに名雪の顔を見上げながら、真琴はいきなり話の矛先をずらした。
「お、俺ですかっ」
「そうだね。私も、真琴ちゃんよりは祐一が相手の方が戦争しやすいよ」
 しかも名雪はあっさりと真琴の味方についた。
「何だそりゃ。つーか一体俺を何だと」
「だって朝起こしてくれないし。いい加減だし。あんまりイチゴパフェ奢ってくれないし。ぱんつ見るの好きだし。‥‥‥敵、だよ」
「ねー」
 そしていつしか、名雪真琴連合軍対祐一、という図式ができあがっていたのだった。
「ねーじゃない! つーか後ろの方半分くらい全然関係ないし」
 確かに、最後はともかく、残りの大概は言いがかりに近いものではあった。が。
「ねー、のこと?」
「ねー違うっ!」
 例によって、祐一の言い分が意に介されることはなく。
 名雪の両手を離した真琴は、今度は、祐一の両手を高く持ち上げた。
 ‥‥‥開戦、の合図だった。

ロンドン橋落ちた[26631022][Kanon][真琴, 名雪, 祐一]



 ぐぐる様経由でそれなり程度に蘊蓄を仕入れておきつつ、しかしそうして仕入れた蘊蓄をひとつも出さずに話を丸めるテスト(爆)。
 タイトルはやまぐうさん
[2663.10.23.木.]
[2663.10.23.木.] / 忙しくなってきました。 / タバスコ。
忙しくなってきました。
 これから11月一杯くらいにかけて、下手すると12月もですが、結構凄い勢いで仕事するコトになりそうな予感です。
 もしかしたらしりとりSSにも結構穴が空くかも知れませんけど、その辺は不可抗力な部分もあるので勘弁してください。

 : つーか日中は本当に仕事しかしてなくて、他のトピックが全然ないわ、今日(^^;;;。
 : 会社員としては、それでよいのではないかと思うのですが。
 : それを言われると苦しい部分はあるが(苦笑)。
タバスコ。
「祐一ー、晩ご飯できたよー」
「おう」
「今夜はパスタだよー」
「おう」
「ミートソースとトマトソースだよー」
「おう」
「これであなたも私もイタリア人ー」
「‥‥‥や、それはどうかと思うが」
 名雪の口遊む謎の歌に冷静な突っ込みを入れながら祐一はダイニングの席に着く。
 目の前に並べられた何枚かの取り皿と、フォークとスプーンと。
 テーブルの真ん中にグリーンサラダのボウルと。
「いっぱいあるよー」
 その脇に鎮座する、小さめの鍋二つを満たした二種類のソースと、
「ありすぎだろ」
 秋子と三人でも食べ切れないかも知れないような、茹で上げで大皿にてんこ盛りのパスタ。
 ‥‥‥ましてや今日は、
「秋子さん、今晩は帰ってこないんだろ? 俺と名雪しかいないのに、誰が食べるんだこんなに」
「七割くらい祐一」
 しれっと名雪は言ってのける。三割食べるのだって結構大変そうだ。
 準備運動か何かのようにこきこきと首を鳴らして、おもむろにフォークを握った祐一はパスタの山の分解に取り掛かる。
「名雪、タバスコ」
「ないよ?」
「そうか、ないのか‥‥‥って、ないのか?」
「ん」
 名雪の答えに、少なからず、祐一は驚いているようだった。
「でもイタリア料理っていうか、パスタとかピザにはつきもので」
 ちっちっちっ。人差し指を振る仕種。
「イタリア料理にタバスコがつきものだと思ってるのは日本人だけだよ。大体、タバスコはアメリカの調味料なんだよ?」
「そっ、そんな馬鹿なっ」
「本当につきものだったら、タバスコ絡めただけのパスタにジャポネーゼなんて名前つけないよ、イタリア人の人だって」
「なんだそりゃあっ」
 祐一の顔に、極太マジックで殴り書き、くらいの勢いで「かるちゃーしょっく」と書いてあった。
 もしかしたらその頭の中には、名雪の声と一緒に、何かががらがらと崩れる音、くらいは響いていたかも知れない。
「だから祐一、タバスコ買ってきてくれたら、ジャポネーゼはすぐ作れるよ? レシピ簡単だし」
 タバスコ絡めただけのパスタ、という名雪の言が正しいとすれば、それはレシピなどという高尚なものではなさそうだ。
「‥‥‥いや‥‥‥いい」
 すっかり毒気を抜かれた祐一の前に、粗く挽かれた赤い粉の小皿が置かれる。
「乾燥させて細かく砕いた赤唐辛子。辛くしたい時はこういうの使うんだって。これで祐一も立派なイタリア人ー」
「いや、だから、歌わなくていいから」
 なんでこんなにハイなんだ名雪は、などと考えつつ、ミートソースを絡めたパスタに祐一は赤唐辛子をぱらぱらと振るのだった。

タバスコ[26631023][Kanon][名雪, 祐一]



 今日は仕事が忙しくて職場で書けなかったというのもありますが(爆)、思いついたのが長々しく書けるようなネタでもなかったので、まあ今日はこんなところで。
[2663.10.24.金.]
[2663.10.24.金.] / いい天気。 / 粉チーズ。 / テスト項目追加。 / そこはかとなく。 / 22時30分をまわりました。
いい天気。
 昨日の夕方頃とか、今すぐ降り出さないとJAROに通報(笑)くらいの勢いで曇ってたのが嘘みたい。

 ‥‥‥そういえば昨日って、結局、降ったんだろうか? 帰宅する時には濡れたアスファルトが半端に乾いたような形跡はあったから、どこかのタイミングで降ってはいたのかも知れないけど、でも気づかなかったし(苦笑)。
粉チーズ。
「タバスコはなくても粉チーズはあるんだな」
 かちゃり、と小さな音がして、背の低い壜に蓋が置かれた。
「それはそうだよ。ちゃんとブロックのチーズを買ってきて挽いたんだよ?」
 続いて祐一がその壜を手に取り、小さな匙で掬った粉チーズを自分の取り皿に撒く。
「名雪が?」
「お母さんが」
「秋子さん偉いです流石です」
「私は?」
 小首を傾げる名雪を他所に、少しの間考え込んでいた祐一は、
「‥‥‥それはさて置き」
 チーズの壜をテーブルに戻した。
「さて置いちゃダメだよ」
 が、言いながら名雪に手渡されたその壜を受け取ってしまい。
「って、あ」
 さりとて、受け取ったからどうしようというものでもなく。
 両手に壜を持たされたまま、祐一は途方に暮れた。
「わ・た・し・は?」
 改めて、自分を指差してみせる仕種。
「このチーズに関しては何もしてないだろ別に」
「うー。そういう意地悪言ってると、ソースのお鍋下げちゃうよ?」
「ちょっと待て名雪、コレまだ半分くらい残ってるのに」
 祐一がフォークの先で大皿の縁を軽くつついた。
「そしたら祐一は、そのまま食べるとか、赤唐辛子をかけて食べるとか、ああ、タバスコ買ってきてジャポネーゼにするとか。‥‥‥紅しょうが、出した方がいいよね?」
「だから紅しょうがはいいからもう。つーか名雪はどうするんだ? まさか名雪だけそのソースで食べるとか言わないだろうな」
 今度は名雪が、しばらく考え込んでから。
「そういえばその手もあったね」
「しまった薮蛇かっ」
「それに、私はまだ、お楽しみが冷蔵庫に入ってるから。祐一も食べる?」
「あー、それはまあ、それで何が出てきても、ソースなしとかタバスコだけとかよりはいいかも知れないが」
「そんな、ないよりマシ、みたいに言わないで欲しいよ祐一。せっかくの、とっておきのイチゴと生クリームなのに」
「イ‥‥‥」
 そのまま反復しかけたところで、凍ったように祐一が停止した。
 取り落としたチーズの壜がテーブルの上に倒れて、テーブルクロスに粉チーズをざーっと振り撒いてしまう。
「あー。ダメだよ祐一、ちゃんと持ってないと」
「ごめん。‥‥‥なんで謝ってるんだ俺?」
「壜、落としちゃったからでしょ?」
「すまん。それは悪かった。でもその前が釈然としない感じというか何というか」
「もう。祐一が意地悪さんだからだよ?」
「だからそれが、限りなく言い掛かりに近いような気がするんだが‥‥‥まあ、いいや。チーズはともかく」
 手が空いた祐一は、不意に立ち上がって。
 チーズはともかく、のところでまた眉間に皺を寄せかけた名雪のおとがいに指を伸ばす。
「おいしいパスタはありがとう。名雪、偉い」
「ん。どういたしまして」
 遅れて腰を浮かせた名雪の唇は、ちょうど零れた粉チーズでできた湖の上空で、祐一の唇に遭遇した。

粉チーズ[26631024][Kanon][名雪, 祐一]



 「ず」とかで終わるのはあまり好ましい事態ではないですが、昨日の話にイチゴと生クリームを出すのを忘れていたことに読み返してから気づいて悔しかった(苦笑)とか、その辺色々引っくるめて、こういうの思いついちゃったんで仕方なく。
テスト項目追加。
 21世紀開幕時点で既に「今世紀最後の力水」と銘打たれた清涼飲料水を売っていたキリンビバレッジ、今度のネタは「試験にでる力水」だそうだ。
 「中学生・高校生応援飲料!」という触れ込みのようだが、職場のおばちゃんがポップを用意しながら「変なタイトル」とか宣っていたのを見かけたことによって気づいた、という経緯からすれば、多分そのうち入荷もされるのであろう。別にココは中学校でも高校でもないけどな(w。

 : でも試験はあるからね。単体から系間結合までそれはもういろいろと幅広く。
 : すると、試験の度にいちいち力水を飲む、というコトですか?
 : 早速テスト仕様に書き加えなきゃ(爆)。
そこはかとなく。
 澤戸さんの中の人に挑戦されてるような気がしてきたブルース・おりくらは、この週末にきんぴらごぼうを作ってみるぜるぜるぜるぜ(残響音含む)。

 : きんぴらごぼうですー!
 : それでもちろん、作り方は御存知なんですよね?
 : いや知らない。
 : ぇー?
 : ぇー?

 ‥‥‥まあ、何とかなるであろう。うむ。
22時30分をまわりました。
 つーかまだ帰れねーのかよブルース・おりくらのせいでもねーのに(T_T)。
 今日はサクッとカリッと香ばしく速攻で帰宅して、今晩あたりから「CROSS†CHANNEL」に手をつけようかな、とか思わなくもない感じだったのに‥‥‥なんかもう、帰ったらそのまま寝ちゃいそう(苦笑)。

 帰宅後補足。退勤が23時で、自宅着は24時30分ちょい過ぎだった。やれやれ。
[2663.10.25.土.]
[2663.10.25.土.] / 休みの日。 / ずる休み。
休みの日。
 寝てたり、テレビ観てたり、ちまちまと「DRAG-ON DRAGOON」を進めてみたり。
 「鋼の錬金術師」割と好き。OP「メリッサ」もED「消せない罪」も好きだし、欲しいことは欲しいんだけど‥‥‥レーベルゲートとかCCCDとかの時点で買いたい気持ちは失せてしまう今日この頃。うーむ。
ずる休み。
 朝が来て。
「どうして祐一は調子悪くなっちゃったのかな」
「どうして名雪は調子悪くならないんだ」
 別々の理由で、祐一と名雪は頭を抱えていた。
「タバスコだけとか、やっぱりやめた方がよかったんじゃないかなあ?」
「イチゴと生クリームの方がよっぽどエキセントリックだと思うが」
 確かに、祐一はタバスコのパスタも食べたし、イチゴと生クリームのパスタもちょっとだが食べてみた。
 名雪はタバスコの方は口にしようとしなかったから‥‥‥祐一の腹具合がおかしいことの理由が何かの食材に拠るのなら、タバスコが悪い、としか考えられないシチュエーションではあった。
「でも、おいしかったよ? イチゴと生クリーム」
 嬉しそうに笑う。また作ろう、とでも言い出しかねない。
「却下」
 祐一の頬が少し引き攣っていた。
「えー」
「何がえーだ‥‥‥とにかく俺は、今日はこのまま学校休むから。学校行くんだったら連絡を」
「でも、今から行っても一限は間に合わないよ?」
 壁の時計を指差す。
 確かに、普段ならもうそろそろ学校に着いているくらいの時間だった。
「祐一がちゃんと起こしてくれないからだよ?」
 病人相手に酷なことを言う。
「あのな。調子悪いんだよ俺はだから。しかも、それでも起こしに行ったのに、お前が起きなかったんだろ?」
「そんなこと言われたって、その時起きなかったんだから、私にはわからないよ」
 言い分は目茶苦茶だが、確かにそれはそうだった。
 げんなりした顔で祐一は溜め息を吐く。
「まあ、お休みの連絡はしておくね。私の分も」
「ああ」
 部屋を出て行こうとする名雪に、だるそうに祐一は頷き返して。
「ちょっと待て。私の分も、って何だ?」
 頷き返してから、慌てて訊き返した。
「今日は私もお休みにするよ。だってもう間に合ってないし、お母さんまだ戻ってないから、祐一の看病は私がしないといけないし」
「だけど名雪お前、それはずる休」
 最後まで言い切ることはできなかった。
「‥‥‥喜んでも、いいよ?」
 唇が触れる距離から、鼻先が掠めるくらいの距離まで離れた名雪の顔が、そんなことを言って笑うから。
 ぱたぱたと足音を立てて階段を降りていく名雪の姿を、祐一は見送ることしかできなかった。

ずる休み[26631025][Kanon][名雪, 祐一]



 タイトルはCFさん
 ‥‥‥書くこと自体をずる休みしてやろうかとちょっと思わないでもなかったんですが(^^;;;。
[2663.10.26.日.]
[2663.10.26.日.] / 引き続き。 / 「仮面ライダー555」観る。
引き続き。
 寝てるかテレビ観てるか「DRAG-ON DRAGOON」やってるか。自堕落。

 まあでも、「DRAG-ON DRAGOON」は進捗あり。召喚獣 契約者セエレと遭遇、サブシナリオ終了。マナEDとカオスドラゴンEDをクリア。女神EDはその女神戦に勝てばいいんだけど、あまりにも強すぎて全然歯が立たないので目下保留中。
 ファーストプレイが必ず行き着く先であるところのマナEDを終えた時点で、シナリオ自体は章立ての単位で半分くらいしか熟していないコトになっているらしい。ドラゴンの形態にステージ毎の縛りがある他は、経験値にしても入手武器にしても全て引き継がれるという特性上、ここから先は今までに輪をかけて相手が強い可能性が高いワケで。
 もしかしたら、解いた後の方が長いかも知れない。‥‥‥ねえ、投げてもいい?(苦笑)
仮面ライダー555観る
 つーかその衛星の画像の、最早「場違い」としか表現のしようのないチャチさ加減は何とかならないの?(苦笑) あんまりチャチで度肝を抜かれたよ?(^^;;;
 誰だかわからない人がいきなり運んで寄越すファイズブラスターといい、相変わらずこのドラマって抜けてるところは本当にもう目も当てられない勢いで抜けてるんだよなー。

 真理たんがファイズギア持ち出してきた時はどうしたもんかと思ったが、変身できなったので一安心。そこまで御都合じゃなかったらしい。
 そしてファイズたっくん復活。ついでにブラスターフォームもテレビ初登場。まあ登場したところで終わっちゃったけど(^^;;;。
[2663.10.27.月.]
[2663.10.27.月.] / 腹が立つ。 / ミントの紅茶。 / うがー。 / 「君が望む永遠」。
腹が立つ。
 もうさ、製造の期限なんかとっくの昔に過ぎちゃってるワケじゃん。
 こっちはそれに間に合うように、随分前に単体アップしちゃってるワケじゃん。
 大体その締め切りだって、100%そっちの都合で切ってあったワケじゃん。
 それで、なんで今頃そんなコロコロ仕様が変わって、そんな場当たり的な仕様変更のひとつひとつにこっちがいちいち慌てて追随しないといかんの?

 変わるべきものは変わらなきゃ仕方ないとしても、だったらせめて一発で全部決まるように決定版を纏めてから持ってきて、と要求するのはそんなにおかしなことなの?
 自分らが最初に言った通りに作ってあって、自分らが最初に言ったことに問題がなければこんな修正ハナから必要ないんだってコトがホントにわかってて言ってるつもりなら、いつまでもいつまでもこんな作業をちまちまだらだら続けさせて、しかも〆切は延ばせませんから慌ててやってくれないと困りますとか、そっちの了見がそもそもおかしいコトには誰がどうやって責任とってくれるの?
 何度でも言うけど、そんなのは作り始める以前にそうなってなきゃおかしかった部分の話でしょ?

 ‥‥‥この職場に魔法使いはおりません。帰れ。
ミントの紅茶。
 そういえば、遠くで笛が鳴るような音は、さっきからずっと聞こえていた気がした。
 カーテンが閉め切られたままの仄暗い部屋の中で、祐一は枕元の目覚まし時計のボタンを押す。こんなチャチな電球の明かりでも、暗闇に慣れた目には少し眩しい。
 時計の針は午前十一時。当たり前だが、行っていれば学校は授業の真っ最中だ。
 いい加減、ただ眠っているのにも飽きてきた祐一は、今日になって初めて、階下へ降りてみることにした。



 笛が鳴るような音の正体はすぐにわかった。薬缶の口がぴーっと喧しく音をたてていたからだ。
 とにかくコンロの火を止めて、換気扇を回してから、改めて、あたりをゆっくり見回してみる。
 パスタの大皿とか興味半分で新しく買ってきたタバスコの壜とか半分くらい零れてしまった粉チーズの壜とか、昨夜そういうものが並べられていたダイニングのテーブルはすっかり片づけられていて、今はその代わりに、ティーサーバや、紅茶のリーフや、そういういろんなものが用意されていた。それは名雪を中心にして整然と順序よく並べられ、そこだけ見ているととても手慣れた印象を受ける。
 一際強いミントの香りが少し意外で驚いたが、別にそれも、普段あんまり出てこないから意外に思えただけで、そこに出てくることが何かおかしいわけではない。
 ‥‥‥そんなことよりも、問題はその他の部分にあった。
 薬缶の音はあれだけ喧しかったというのに、放っておいたら明日の朝まででもこのまま寝ていそうな感じで、肝心の名雪がそのテーブルに突っ伏して眠りこけている。あの万国目覚まし音博覧会を毎朝平然と無視してのける強靭な聴覚に薬缶ひとつで太刀打ちするのはやはり無理だったようだが、この場合はその強靭な聴覚のおかげで、整然も順序よくも手慣れた印象も台無し、なのだった。
「名雪‥‥‥名雪? なーゆーきー?」
 無駄と知りつつ声をかけてみる。当たり前だが返事はない。
「ったく」
 何となく、名雪の正面に腰かけて、テーブルに頬杖を突いた。まあ正面とはいっても、名雪はテーブルに伏せているから寝顔が見えるわけではなくて、祐一のいる方を向いているのは頭のつむじくらいだったが。



 レースのカーテン越しに差し込んでくるやわらかな光の中で、くーくーと静かに聞こえる寝息に合わせて、穏やかに上下を繰り返す名雪の身体を見つめている。猫の顔をあしらったパジャマが肩のあたりで一緒に揺れる。猫まで一緒に眠ってるみたいだ。
 見つめていたら、何だか起こすのも気の毒になって。
 ‥‥‥その薬缶の中身は最初は完全に熱湯だったワケだから、もしかしたら俺は結構長い間、こんな風にして名雪の側にいたのかも知れない、などと思いつつ。
 大体いい具合に熱が引いた薬缶から自分で紅茶を二杯淹れながら、祐一は、名雪がこんな風に紅茶を注いで差し出す時に、多分言い添えたかったであろうこと、を想像してみた。
「ミントには整腸作用があるから、お腹の具合が悪い時にはいいんだよ」
 何となく名雪を真似て呟きながら、千切ったミントの葉を浮かべて。
 祐一の看病は私がしないといけないし。‥‥‥ついでのように思い出した今朝の名雪の言葉に、どっちが看病してるんだか、と苦笑混じりに突っ込みを入れて。
 それから、秋子の席の背凭れにあった膝掛けを肩に掛け、自分のマグカップだけを持って、祐一はそっと二階へ上がる。



「‥‥‥それにねー‥‥‥気分もー、すっきりするんだよー‥‥‥」
 付け足すように名雪が言った声が聞こえたような気がしたけど、それは本当に聞こえた声だったのかどうかは、祐一にはよくわからなかった。

ミントの紅茶[26631027][Kanon][名雪, 祐一]



 つーかどこまで続くんだコレ?
 そろそろ本当に止めないとどんどん止める機会を逸しちゃいそうだぞ?(苦笑)

 ともあれ。
 個人的な希望としては、本当は「ミントと電気」というタイトルになるのがよかったんですけど、どう考えても「電気」が出てくる余地がないっぽかったので半分諦めた、のは永遠に内緒です(^^;;;。
うがー。
 阪神負けたー(笑)。
 別に阪神ファンではないけど、今年は気分的に、阪神に勝って欲しかったなあ。
君が望む永遠」。
 アニメ第4話。‥‥‥んぎゃあああああああああっ! なんぢゃこの恐ろしひ展開わっ!(^^;;;

 : 何つーかもう、恐いもの見たさの領域? ホラー映画とかそういうのを、スクリーンからは顔を背けたままで、でも横目でちらちら観てるようなノリ(苦笑)。
 : そ‥‥‥それは難儀ですねえ(^^;;;。

 ゲームもこんな展開なんだろうか? ‥‥‥だとしたら、見てみたいような、全然見たくないような。むー。
[2663.10.28.火.]
[2663.10.28.火.] / ごめん1回休み。
ごめん1回休み。
 主に仕事の都合。明日も休みかも。
 しりとりSSは酔狂先生のリクエスト「やんちゃ坊主」で再開の予定。
[2663.10.29.水.]
[2663.10.29.水.] / 今日もお休み。
今日もお休み。
 箇条書きモードで。
  • DRAG-ON DRAGOON」。昨夜ふと「難易度をEASYに下げる」という斬新な対処法を思い立ち(爆)、下げた途端、超難関だった女神戦に勝利。女神ED到達。難易度調整一発で予想外に敵が弱体化したコトにちょっと驚いたり(^^;;;。
  • ところで残りEDは2つだが、そのうち片方は武器65本の収集が完了していないと出てこないらしい。正直、そんな苦行みたいな作業にはつきあってられません。捨て。
  • 僕がこのゲームに惹かれたのは根底にある暗い世界観やら物語やらの部分であって、武器がたくさん出るとかアクションゲームとして云々みたいなトコはある程度度外視したトコから入っているので、余計にそういうフィーチャーを面倒に感じるのかも知れない。武器が揃わないと出てこない方のシナリオはどうも本当にただのオマケらしいし。
  • 母天使EDまではどうにか到達できるように頑張る、その後気力が続くようなら最後のEDも細々と狙う、くらいの目標設定で。
  • ちなみに難易度はNORMALとEASYしかない。EASYだと出ない隠し武器もある、くらいしかデメリットはなかった筈で、だから武器コンプリートを目指さない人にしてみれば、単純に、簡単になるだけ。‥‥‥最初からEASYにしとけばよかったのかも(w。
  • おかしなことを言っている、とはわかっているんだけど、やたらと仕事が忙しくなってきたからなのか、なんか最近無性にM:tGがやりたい気分(ば苦笑)。
  • でもだからといって、カードにお金を払うのももう嫌だ。‥‥‥お金で買った実際のカードでM:tGをプレイするコトの虚しさは、デッキ構築における選択肢の幅がしばしば財力に比例する、という点に尽きると思う。
  • 本家のマジックオンラインも仮想カードに実際のお金を払う仕組みらしいから、その辺の事情は全然変わってないワケだし。
  • どこにどれだけカードを突っ込んでも費用が発生しない(電気代くらい?^^;;;)システムったらApprentice32しかないのであり、Apprentice32限定でなら黒い人道復活もアリかも。
  • ところで、Apprentice32って最近のセットにもちゃんと追随してるのかなあ?
  • 実家から荷物が届くというから、かなり無理矢理、早めに退社。
  • 結果として荷物は受け取れたからいいけど‥‥‥
  • 内容物:掛け布団、米、昆布。
  • ‥‥‥what?(^^;;;
[2663.10.30.木.]
[2663.10.30.木.] / まだお休み。
まだお休み。
 仕事が凄い勢い。こんなコト書いてる場合じゃなかったり(苦笑)。
 取り敢えず今日を乗り切れば一段落だと思われるので、早ければ明日あたりから、またSSが再開できそうかも。
  • メモ。しりとりSSタイトルとして、酔狂先生「やんちゃ坊主」→やまぐうさん「ずわい蟹」了承。
  • 復帰コメント一発目は『また「ず」かよ!』しかないだろう、と密かに思っていたのだが、もうその次が指定されているので別に今からブルース・おりくらが自分で悩む必要はなくなっており‥‥‥要するに、既にして突っ込みドコロを逸している現実(笑)。
  • ちなみに、↑の通りだと「ず」は「ずわい蟹」で5本めであるのに対し、「に」は今のところ0であり、その後に某かが続いて初めて1。キューを含めて5本あるのは「ず」と「つ」のみ。
  • もしかしたら酔狂先生もその辺ある程度作為的なのかも知れないが(w、きっちり空き家を狙ってくるやまぐうさんの律義さも流石だ、と思った次第。もちろんそれはどっちがいいとか悪いとかの話ではなくて、いろんなテストがいっぺんにできて嬉しい、という話。
  • 設計レビューは乗り越えて、これでどうにか山ひとつクリア。
  • ただまあ、設計したというコトは、ソレをもとにしてこれから製造するというコトなので(苦笑)、来月は来月でやっぱり大変なのであった。
  • しかも来月の山の方が今越えた山よりもうちょっと高くて険しい山っぽく、余裕かまして「大変なのであった」とか言ってられない可能性の方が高いのも事実なのであった。
  • ‥‥‥。
  • _| ̄|○州
  • _| ̄|○州
  • _| ̄|○州
[2663.10.31.金.]
[2663.10.31.金.] / 復活しかけの黒い人。 / 「浄火」。 / やんちゃ坊主。 / 「DRAG-ON DRAGOON」は、 / 牧野修「バイオハザード」読む。 / あーあ。
復活しかけの黒い人。
 勢い余って黒単デッキとか考え中。
 現在の環境がどうとか強いデッキがああで流行ってるデッキがこうでとか全然知らないが、まあ、デッキ作るにあたってそういうの気にしたコトがない、ってのは別に今に始まった話じゃないし(笑)。

 : スポイラーリストは持ってるからその辺も入っちゃってると思うけど、JApprenticeで日本語化したApprentice32では、MIRRODINとやらいうエキスパンションはまだ使えない模様。
 : Apprentice32日本語化計画の方では使えるようですが?
 : ところが、実はそっちは、OSR1以前のWindows95とWindows2000に非対応(^^;;;。
 : ‥‥‥ご愁傷さまです(苦笑)。
 : 昔ちょこっとだけ使ってみたことがあって、おかしいなあと思ったコトはあったんだけど。ウチの環境に固有の問題とかじゃなくて、本当にそういう不具合を抱えたソフトだったんだなあ。むー。

 基本的にブルース・おりくらはスーサイド黒みたいなデッキばっかり作ってる可能性がやけに高い人なので、ブルース・おりくらと対戦しようとか考えてる人はWrath of God(UN-8ED,PO)あたりを装備すると幸せになれるでせう、って自分でバラしてどうする?(^^;;;
浄火」。
 "Empyrial Armor / 浄火の鎧(WE)"の"Empyrial"が本当はどういう意味なのか、をちょっと真面目に調べていたところ、もしかして綴りとしては"Empyreal"の方が正しいんじゃないの、という発見に行き当たってしまった今日この頃。‥‥‥そんなオチかよ(苦笑)。

 さておき、"Empyreal"の方は本当に「浄火」でいいらしい。
じょう‐か【浄火】ジヤウクワ
きよめた火。神聖な火。
[広辞苑第五版]

じょうか【浄火】
(神にささげる)きよめた火。神聖な火。
[岩波国語辞典]

じょうか(1)ジヤウクワ【浄火】
神前にささげる、けがれの無い火。神聖な火。
[新明解国語辞典]
 そしてこの通り、「浄火」の意味も大体みんな一緒。多分"Empyreal"はそういうことなのだろう。
 や、"Empyrial"がどうかは知らんけども(苦笑)。

 ちなみに、ぐぐる様にお伺いをたててみた感じだと、"Empyrial"って単語を使ってるのは大概魔法使い関係者らしい。というかまあ、引っ掛かっている単語のほとんどが"Empyrial Armor / 浄火の鎧(WE)"か"Empyrial Plate / 浄火の板金鎧(MR)"なので、当たり前といえば当たり前なんだけど。
やんちゃ坊主。
 人気のない公園の隅とはいえ、一応まだ昼間のうちで、生け垣の向こうの大通りには人目も少しはある筈で。
「放せよ! 放せってばっ」
「うぐうっ‥‥‥あっ祐一くん! 祐一くんってば! 見てないで手伝ってよーっ!」
 何やら男の子を羽交い締めにしたあゆがその男の子に振り回されて困っている姿は、通りすがりの祐一には、昼間の公園らしい光景、には見えなかった。‥‥‥珍しいものを見た、と祐一は思う。
「つーか、何やってんだあゆ?」
「いいから捕まえるの手伝って! 食い逃げだよ食い逃げ!」
「違うって言ってるだろっ」
 違うかどうかは知らないが、その男の子は確かに右手に紙袋を握っている。
「いいから落ち着け。ほら、そっちのお前も」
 取り敢えず話を聞くことにして。
「ボク、猫じゃないよっ」
「そんなこと誰も間違えないから大丈夫だ」
「うぐぅ‥‥‥」
 祐一は、男の子を羽交い締めにしたあゆの首根っこを掴み、ずるずるとベンチまで引っ張っていく。



「で?」
「この子がね、この子があっちのたい焼き屋さんでたい焼き買って、お金払わないで逃げたんだよ!」
「‥‥‥なんか、あゆみたいな奴なんだな」
「そんなことないもん!」
 よく臆面もなく『そんなことないもん』とか言うよなコイツも。‥‥‥思ったが、それは言わないことにして。
「それで? 何がどうなってるんだ?」
 次に祐一は男の子に向き直る。
「だから今ボクが説明」
「こっちの子に聞いてるんだ」
 あゆが口を挟もうとするが、祐一はそれを許さなかった。
「で、どうした?」
 男の子はだんまりを決め込んでいる。
「あのな。おかしなことをしてないなら、何があったかきちんと伝えた方がいいぞ? でないと俺は、こっちのたい焼き星人から聞いた情報が正しい、としか思えなくなるぞ? それはまずいだろ?」
「たい焼き星人じゃないもん!」
「だから今はこっちの子に聞いてるんだ。五月蠅いぞたい焼き星人」
「うぐぅ‥‥‥」



「つまり、病気で入院しているお母さんに、たい焼きを買ってあげようと思った」
 ぽつぽつと、男の子が言うことには。
「そこのたい焼き屋さんで注文はしたんだけど、その時に、実は財布を家に忘れていたことに気づいた」
 どうしていいかわからなくなって‥‥‥渡された紙袋を持ってそのまま逃走した。
「まあ事情はともかく、やったこと自体は確かに万引きだな」
 男の子の頭に、祐一はぽんと手を載せた。
「悪いことしてる、ってわかってるよな? だったらいい。俺たちは別に、警察に突き出そうとか、そういうことがしたいワケじゃない」
 それから、財布を取り出して、五百円玉を一枚摘み出して。
「今から、自分でもういっぺん、そのたい焼き屋へ行くんだ。今俺に言ったことを話して、家からお金持って来たって言って、これをおじさんに払っとけ。ちゃんと謝るんだぞ?」



「祐一くん、優しいんだね。あんな風に、ボクにしてくれたこと、なかったよね」
 不機嫌そうにあゆが呟く。
「そりゃ、あゆみたいな常習犯じゃないかも知れないからな」
「だからあれは借りてるだけだって」
「返すアテがないから、同じ万引きの犯人を捕まえて、たい焼き屋に機嫌を直してもらおう、とか思ったんじゃないのか?」
「うぐぅっ!」
「‥‥‥図星かよ」
 祐一は溜め息を吐いた。
「あいつの言ってたことは確かに嘘かも知れないけど、そんなの関係なく、あゆがやってたことはちょっと子供っぽいぞ。そこら辺のガキじゃないんだから、そんな変なトコで知恵使った気になってないで、返すもんをきちんと返せ。な?」
 がっくりとあゆが項垂れる。



「嘘‥‥‥だったのかな?」
「いや。確かめてないからわからん。確かめたくもないしな」
 祐一は、今度はあゆの頭を撫でた。
「あんなことばっかり繰り返してるような奴なら、そのうちまた誰かに捕まるだろ。捕まえた奴がみんな俺みたいに黙って放してくれるわけじゃないから、いずれはそれで痛い目に遭うこともあるかも知れない。でも、言ってたことが本当のことだったら、さっきの奴は多分もうそんなことはしない。それならそれでいいだろ? 本当に困ってたんだから」
「‥‥‥ん」
「それからまあ、あゆのいつもの言い訳も、あれくらい何か考えて言えばいいのに、とかちょっと思ったけどな」
「あーっ! それじゃボクがいっつも何も考えてないみたいじゃないかあっ!」
「違うのか?」
「うぐぅっ! 祐一くんなんか嫌いだよっ!」
 思い切り不機嫌な顔のあゆがぷいと横を向いた。
「わかったわかった」
 宥めるように言いながら、ベンチから立ち上がる。



 思い切り不機嫌な顔をしていた筈なのに。
「一応まあ、いいことではあったワケだからな。今日のたい焼きはご褒美に俺が奢ってやろう。‥‥‥行くぞ、あゆ」
「あ、待ってよ祐一くんっ!」
 ‥‥‥あっという間に、あゆの機嫌も直っているのだった。

やんちゃ坊主[26631031][Kanon][あゆ, 祐一]



 タイトルは酔狂先生。
 でまあ、せっかく途切れたことだし、何となく連作になってしまった名雪シリーズは一応アレでおしまい、というコトでひとつ(^^;;;。
DRAG-ON DRAGOON」は、
 大丈夫(自称)な方の攻略本を買ったら知りたいことが大体載っていて、概ね満腹状態になってしまった感がなきにしもあらず(^^;;;。後はもう「ゲーム」ってよりも「作業」に近いしなー。
牧野修「バイオハザード」読む。
 退勤する道すがら、田町の書店で買って、電車の車中と、有楽町で途中下車して食事の間、だけで読み切ってしまった。
 大体映画で観た通りの内容だった気がするので、そういう意味では特に驚くような部分は出てこなかった。まあまあおもしろいんだけど、これは「ホラー」か、と問われるとちょっと微妙な感じ。つまり、あんまり恐くなかった(苦笑)。それは何も、これが映画のノベライズで、映画の中身をブルース・おりくらが知っていたから、というだけではなくて、多分、「恐いこと」を描写する以上の熱意を「アリスやレインのアクション」に傾けてるからじゃないか、って気がした。だから映画のノベライズとしても多分正しい。映画も「ホラー」か、と問われたら微妙だったと思うし。
あーあ。
 「DRAG-ON DRAGOON」。例によって最後の最後でEASYモードを駆使しつつ(笑)、取り敢えずセエレED到達。はいいんだけど、今までちょっと勘違いをしていて、武器を揃えないと見られないのが母天使EDだったらしい。ちなみに現在、武器の入手率は大体5割弱。

 ‥‥‥ぇー。

 : てなワケで、この辺で一旦投げようと思います(爆)。
 : ぇー?
 : ぇー?


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