「いやあ、かいた、かいた。たくさんかいたよ」
「練習おつかれさま、杜月くん。はい、タオルです。汗ふいて……あら?」
「あ、棗先輩、違うんだ。かいたのは汗じゃなくて、別の話」
「別って……あ、国語か英語の宿題ですか。慣れない文章を書いて、書いて、たくさん書いて、腕が痛いと」
「あー、まあ、腕は酷使したけど、そういうことじゃないんだな」
「?」
「昨日の夜さ、どうしてもたまっちゃって、それはだって先輩に相手してもらえない日が続いてたからで――」
「だ・か・ら、先輩があんなことやこんなことをしてくれてとか想像して、かいて、かいてかきまくって、ようやくすっきり……ぐああっ」
青筋を立てた棗先輩のサブミッションが見事が決まり、俺は「ギバーップ! ギバーップ!」と叫びもがく羽目になった。
[たくさんかいた title:やまぐう / cast:やまぐう / author:やまぐう]
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