多分、少女は教室の隅から見ていた。 教室の中心はいつも賑々しい雰囲気で満ちていて、カヲリはいつもそれを見ているしか出来なかった。カヲリは自分がドンくさくてトロくて、ヒトの目を集める存在とは認識していなかった。本人もそう思っていたのだから、他のヒトがそう思うのも無理はない、とずっと思っていたのだった。 カヲリの周りには目に見えない茨の園が出来上がっていて、だからカヲリは教室の隅にいるしかない、とそう――信じていたのだった。
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