空も飛べるはず / 杉田俊輔

 私がトロンボーンを調整に出してから一週間が過ぎた頃、久し振りにスウィングガールズのメンバーが集まる機会があった。学年末考査の鬱憤を晴らすかのように、みんなが音を合わせて、スウィングして。それがあまりにも楽しそうで、気持ち良さそうで。
 トロンボーンが無いから、そんなみんなの中に入っていけない私。その時になって改めて、自分がどれだけトロンボーンが好きで、ジャズが好きで、スウィングするのが大好きなのか、今更ながらに思い知ってしまった。
 早く私のトロンボーンを吹きたい。ジャズを演奏したい。思い切りスウィングしたい。私はその時、心からそう思ったんだ。

 それから残りの一週間、私の心の中はトロンボーンのことだけでいっぱいだった。私のトロンボーンと早く会いたくて仕方なかった。そして、思いっ切り吹いてあげたかった。スウィングしたくて仕方なかった。どうしようもなく待ち遠しくて、心がはちきれそうだった。まるで、激しい恋みたいに。

 そして、また一週間が過ぎた。


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